第2話 エルザ爆誕!!・・・じゃねぇよ
街の近辺に居るスライムやうさぎ、大きなカラスなんかを倒しつづけて3時間くらえぇか?ぼちぼち日が落ちてきそうな所でエルザと供に街に戻って来た。
戻って来たのは、はじまりの街といわれるスタータウン。なんではじまりの街かって?
ここがMMOにもなった国民的大作RPGに似すぎてる世界だからだよ。
いや正確に言うと、そのものじゃないだろう。シリーズの各要素が混じり込んでる。
1作目であり・・・11作目であったりする部分が所々ある。
少しだけ世界に来た時点を振り返ると、俺とエルザは謎の転送で飛ばされた草原から移動して、近くにあったこの街に着いたのだが、門に着くやいなや勇者様が着いたぞと門番に叫ばれて、あれよあれよと言う間に王様へ謁見し、長ったらしい口上の後に「ひのきの棒」と「50G」を貰った。
「マスター!道具屋にいきますわよ!!」
待て割り込むな。そして石ころを売る気マックスかよ。
「ああ、ちょっと待ってくれ。道具屋に行った後は酒場に行こうと思うんだ、先に宿屋に戻って武器と防具を置いてこようぜ」
「わかりましたわっ!先の先まで計算して行動するマスターは素晴らしいですわ!」
計算と予定は違うけどな、ああっどこまで振り返ったんだっけか。ああそうだな、王様に魔王を倒すのじゃ!50Gと棒きれでな!って無茶振りをされたとこまでだな。
俺は大作ゲームをプレイした過去の記憶を頼りに城下街を歩いてみることにした。そうしたら、あちこちにあるわあるわ見覚えのある人や建物が。それは緑色の服を着た商人がやってる道具屋、閉所恐怖症になりそうな狭い武器屋、銀行と超空間保管庫が併設された酒場。そして街の長である占いババア。ちなみに、こいつが神託じゃーとかいって俺たちを勇者に仕立て上げたらしい。ペットの亀はペガサスにでもなるんすかねぇババ様。
そこまで確認した所で、うんRPGじゃん。どっかーんなロケットランチャーじゃなくて国民的大作ゲームのRPGじゃねぇかよ!ってなったわけだ。
そこからは街の宿に泊まり、街の近郊でモンスター退治をしてるって次第だ。
歴史的な背景も国家情勢も大きな目的も目標となるものも、さっぱりわからんままだがな、まぁとりあえずレベル上げってマインドだ。わけがわからなくても強いに越したことは無いしな。
これでようやく現在に追いついたってとこだな。
そして、さっきから混乱のバッドステータスを常時抱えてるような発言をしているのは、エルザだ。
エルザは俺が作った最高のバーチャルキャラクターだったんだが、どうやら俺と一緒に転送された時になんちゃら意識体とやらが小細工したらしい。
思い返せば高次元なんちゃならアイツは人の話し聞かねぇし、語尾も「ですわ」とかだった。変な属性つけたのはアイツか。
中途半端なお嬢様キャラつけやがって・・・・おぼえてやがれ。
まあどうにもならん事を考えても仕方ねぇ、結論だけ言うとエルザは人になり、勇者っぽい何かである俺のパーティメンバーとして街の人に認識されている。ちなみに街の声はこんな感じだ「やっぱ勇者様のお供の方ともなるとすんげぇ美人なんだぁなー」との事。......まあ人として違和感が無いって事だな。
「マスター!今日はスライムを倒したからスライム記念日ですわね。祝杯にふさわしいですわ」
そんなセレブみたいに都度パーティしてたら、財政破綻しちまうよ。
「スライム記念日じゃねぇよ。酒場で情報収集だよ」
「なるほど!酒中に活路を見出す!ですね!!」
おっおう。死中じゃねぇかなぁ。。。
「活路が見えるかわかんねぇけどな、まあ酒場には人がある程度集まるだろ、そいつらに色々聞けば近くの街とかの話しもわかってくるだろうよ」
「3人寄れば文殊の知恵ですわね!」
ちょっと違くねぇか?遠くもねぇけど近くもねぇ。
「まあ、そういうこった」
街の中にある安い宿に着いて、エルザとわかれる、まぁ別室にしておいた。一応男女だしな?
「エルザ、酒場に行く前に俺だけ少し用事がある。すまないが戻るまで待っててくれ」
「わかりまひたわ」
あいつ、なんか食ってやがる。部屋に食い物貯め込んでるのか?まあいい、とりあえずモンスターや動物らを道具屋に売っぱらって来ますかね。ちなみにエルザを連れていかねぇのは、ご利益のある石を売るに違いねぇからだ。
・・・・
「エルザ、戻ったぞ」
「はい、ですわ。お着がえをしますのでお待ちくださいませ」
着がえとけよって思わなくも無いが、女の支度に文句をつけるのはご法度だろう。
とりあえず売れるもんは売っぱらって、換金出来たので当面の宿代と夕食くらいはなんとかなるだろう。部屋の前でエルザを待ってると部屋の中から「コルセットは一人だと面倒ですわね」とか聞こえたが深く考えないようにした。飯食うのにコルセットするのか・・・よ。
体感で20分程だろうか、エルザの用意が終わったらしいので酒場へと向かう。
道中は「お腹が空きましたわね」とか言ってたから、エルザは道具屋に石ころを売りつける事を忘れているっぽいな。安定のぽんこつクオリティで安心するわ。
酒場に入ると、活気あふれる喧騒と色々な食材の匂いに眩暈がする。俺は騒がしいのは好きじゃねぇんだよな。
「とりあえず飯でも食べながら周りの様子をみるか」
「はいっマスター。スライム記念日を祝いましょう!」
その記念日、あと何回あるんだろうな。まぁ気にしたら負けだなと思いつつ酒場の店員らしき赤い布を海賊巻きにした女に手を振って呼びつけた。
「はい、ご注文は何でしょう?うさぎにしますか!今日は獲れたてですよ」
おいっあぶねぇぞ。。。かすってんじゃねぇよ。そしてそのうさぎは俺たちが倒した物だと思うぞ。売却から仕入れの動きはええな!!
「食事を取りにきたんだ。なんかお勧めがあったら頼む」
「わたくしはうさぎにしますわ!!」
おう、生産者が消費者になるやつだな。うさぎにひのきの棒が刺さって無いといいな。
「はい、わかりましたー。お兄さんは沢山食べる人ですか?」
「ん?いや、割と小食なほうだな。一般女性より少し多い位が適量だな」
「わたくしは・・・あれ?食べるのでしょうか?」
ああ、食事の経験がな。
「うん、一般女性程度だと思うぞ」
「わっかりましたーじゃあ量を合わせて持って来ますね。足りなかったらおかわりしてくださいね」
しっかりした娘だな。あいつは宿の王にでも成れる才能でもあるんだろうな。
さて、飯を食いつつ情報収集でもしますかね。
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