第2話 夢の様な悪夢の始まり

パチプロ見習い生活をしばらくした後、

私は仕事をしないといけない衝動に駆られた

18歳で結婚して、子どもと妻の為に働いていた2年間は、自堕落な生活に何とも言えない恐怖心をもたらしたのだ。


元々頭が良い訳じゃない為、力仕事を選んでいたが、最近の金回りの良さが影響して、見た目を気にして販売業を探した


『日当5000円とかないわぁ』

求人雑誌を見ながらタバコをふかす

いざ探してみると、不景気と低学歴、無資格の現実がやる気をみるみる失わせてゆく


『なんか無いかなぁ』

何も考えが浮かばず、退屈凌ぎに街にドライブに行く事にした、梅雨が明けていよいよ暑い夏が来るなと思わせる日だった


車を走らせているとカップルが遊びに行く途中だろうか、楽しそうに笑っていた


『彼女欲しいな、、、』

あの日から数人の女性と出会い、付き合ってもスグに言い合いになって、すぐに別れてしまう

『なんでなんかな、、、』

色々と一人で脳内会議をしてる時に電話が鳴った

ピッ

『もしもし?誰?』

誰からの電話かも見ずに電話を取り

相手に聞き返す

『あ、ハジメ?何言ってるんよ!リカよ!リーカ!今何してんの?』

リカは最近、出会い系サイトで知り合った

無料サイトで相手からガンガン連絡が来て

驚いたのを覚えてる

『ん?俺は、、、、ヒマしてる』

喉まで出た言葉を飲み込んでザックリとした

返事をする

『じゃあさ?私の家においでよ』

予想外の言葉に混乱する、彼女は既婚者で

旦那は夜勤勤務だから昼間は確実に家に居るはずなのだ

『あれ?旦那は?』

聞き返すと即答で

『離婚して出て行ったよ!』

なんか理由を聞きたくなかった、、、

あの日、自分が出て行ってからの妻を見てる

そんな気持ちになり、胸が焼けそうだった

『遠くに居てるし、今日は無理やわぁ』

俺は無意識に逃げようとした、勝手に重ねていた、あの日の妻を、、、

『私、今辛いんよ、、、思い切り抱いて欲しい!はよ来て?』

俺の言葉なんか無かった事になっていた、

あの日、俺が出て行ってから、、、

妻は浮気相手に同じ電話をしたかもしれない、、、考えれば考える程胸が苦しい

でも、、、

『リカは関係ないもんな』

聞こえるか聞こえないか分からない小さな声で呟く

『ん?なんて?ハジメの声が遠いよ?』

ハッと我に返り、自分のナルシストな一面に嫌悪感を感じながら、会う約束をして

リカの家に車を走らせた



リカの家に着いてすぐ、旦那が家に戻ってきた

とっさに車から降りずに他人のフリをする

車の中に居ても会話が聞こえる

『ヤリマンが!どうせすぐに男作るんやろが!』

『アンタよりマシな男しかこの世におらんし、選びたい放題やわ!さっさと出てけ!』

ここまで会話聞こえる喧嘩した事無いな、、、

逆に冷静になってしまった

バァン!ガン!

力一杯ドアを閉める音にビックリしていたら

旦那は車で出て行った

鉢合わせとか、考えただけでも嫌になる

俺はリカに電話をする事にした

プルルル プルルル ピッ 

『ハジメ?今どの辺?』

さっきの聞こえてきた罵声と違いすぎて驚く

『もう近所やで』

もう着いてるとは何となく言えなかった

『私さ?友達の家にチビ預けてくるし待ってて』

そう言って電話をきってすぐに、リカが家から出てきた、幼稚園児位の娘を抱いて歩く姿は母親だった

10分位だろうか、助手席のドアが開いて

リカが乗りこんできた

『お待たせ〜』

走って来たんだろう、汗が滲んでる

『おー!お疲れ様〜走らんでいいのに〜』

当たり障りない挨拶と労いの言葉を交してすぐに、目と目が合った

そのまま、吸い寄せられるようにリカとキスをしていた、あまりに積極的で、身体を重ねる為の昂る感情をなんとか表現しようとしている様なキスをした後、後部座席に移動した


流行りで貼ったフルスモークフィルムが役に立つ日が来るとはと感心してる暇も無く、

リカは服を脱ぎ始めた

小さ目なTシャツに、ミニスカート

ただでさえ薄着なのに、脱いだ姿はあまりに官能的で、もう何も考えたくなかった。


前戯なんてものは一切なく、お互いの性器を手で触り合い、準備が出来ているとお互いが確認出来たらすぐに、奥まで深く繋がっていた。

リカは腰をこすりつけ、もっと奥にまで入る様にと言わんばかりに動きながら、俺の首に手を回し貪る様に舌を絡めてきた


俺は夢中でリカの名前を呼びながらリカを抱きしめて腰を振り続けていた


絶頂を迎えそうになった時に、リカが耳元で囁き、俺は同時にリカの中に放出した


繋がったまま、ゆっくりと舌を絡め合う

『ハジメの硬くてぶっといので孕ませて、、、私の中にいっぱい出して、、、

いっぱい愛して、、、』

そう優しいく、やらしくリカは囁きながらゆっくり腰を動かし始めた

応えるように勃起してそのまま貪るように身体を重ね続けた


何時だろう、、、外が暗い

いったい何時間お互いを求めていたのだろう

やけに冷静に透き通った気分だった


突然リカが口を開き沈黙を破った

『ウチな、アンタと初めてエッチした時に離婚しようって決めたんよ。』

その言葉を聞いた時、色々な事が頭の中を駆け回った

俺は一つの家庭を潰してしまった、、、

自分が受けた裏切りを他人にまでさせてしまった、、、

そんな感情と一緒に、でも思ったより何も感じないな、自分が裏切られてないしいいよ別に、、、

頭の中で天使と悪魔が囁いてるのかな?それくらい両極端な考えが頭にあった


そして何より、セックスが終わってからリカを大切に思えなかった


好き嫌いそんなもんじゃない、完全な無


俺はあまりに初めての感覚に戸惑いながら、それを悟られない様にリカと朝まで過ごした

翌朝、子どもを迎えに行き3人で朝食をとり俺は自宅に帰る事にした。


朝まで、離婚しようって決めた時のリカの感情の移り変わりや、自分も離婚するかも知れない事、そして話せば話す程、俺は妻の裏切りを責めるに値しない人間であると認めていった、その帰り道、妻から電話がかかってきた。

あまりにもタイミングがピンポイント過ぎて、心臓が締め付けるような苦しさに襲われた。

『なに?なんの様?』

もっと、違う言葉があったのに、自分が嫌になる、久々な声に安堵し心配されてるのかな?と期待して嬉しい気持ちを一生懸命押し殺す

『家を引き払うのに荷物邪魔やから、引き取りに来てや』

あまりに淡々とした言葉にいらだってしまう


仕方なく、妻の居る家に向かった

家に着くと妻は電話とは別人な愛想の良い口調で、話しかけてきた。


直感なんか感じた事なかったが、この時はハッキリとわかった

これで終わりなんだなと

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る