表世界〜最下層の歩き方〜
@kumachun
第1話 転落人生の幕開け
『ごめんなさい!』
そう言って、妻は私の前で正座して震えてる
私は何を間違えたのだろう
頭の中が真っ白に、、、いや違う
殺意や憎しみ、悲しみを必死に真っ白にしようとしている、理性は本当に厄介だ
怒りのままに殴れば!
警察に捕まる、、、
なんでこんな奴のせいで俺が!
俺が悪かったのか、、、?
様々な感情が湧いては自分で否定して
気がつけば、私は自分の実家に逃げ帰っていた、私は結局何もせず逃げたのだ
どうするべきだったのか?分かるはずもなく
分かりたくもない、、、
ただ、これだけは間違いない
あの日、妻の浮気が判明し妻から逃げたその時から、私の転落人生は幕を開けたのだ
逃げたあの日から数日、部屋に引き篭もり
泣いて怒って放心状態になりまた眠る、
20歳の自称大人の男は
あまりにも呆気ない終幕になすすべ無く
ただ、自分を慰めた
『もう、どうでもいいや、、、』
と呟いてタバコに火をつける
仕事も無断欠勤で辞めて、携帯電話は妻の名義だったので地面に叩きつけて壊した。
ざまぁみろ!言ってて悲しくなる
あまりに何もない人生、借金も無く
信用も無く、趣味も無い
ある朝、いつも小汚い親父が朝風呂に入っていた
思わず笑ってしまった
息子を見た親父は呆れた顔で
『ワシの仕事を手伝え!』
公務員だったはずの父から聞いた驚き発言だった
『何の仕事なん?』
と聞く俺に父は何も話さず、一緒に電車に乗り込んで大阪に向かった
『いい加減話せよ』
可愛げのない息子の質問に対して
『ワシはパチプロなんや、ワシの手伝いをしろ、出来高で小遣いをやる!』
なんというか笑うしか無かった
仕事を辞めた親父はパチプロになっていたのだ
プロの技を教えてもらえるんかな?と淡い期待をしたが、自称プロの腕前はただの新台入替の台に座るだけだった、、、
私は同じ新台に、親父から貰った軍資金で
ただパチンコをさせてもらってただけだった
当時はパチプロ、スロプロが多くいて
モーニング(仕込みされた台)等もあり
勝てた日が割りと多かったと思う
私はそのお金を使って、新しい服や香水
アクセサリー、携帯電話を購入した。
気持ちの切り替えは不思議なもので、
数日前の事件などもはや頭の中に無かった
友達に彼女を紹介してもらい、父のパチプロ活動でお金を得て、再び立ち直れたと
疑いもしなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます