第6話 あ~んさせて
もはや興味の対象は恋愛解禁宣言をした
さすがに教室で告白する勇者はおらず、リベンジに燃える男子や今度こそ勇気を振り絞らんと自問自答する男子で異様な空気に包まれている。
女子は女子達で誰の告白なら受けるのかと
おかげで僕はそれなりに平和な学校生活を取り戻したと思ったのも束の間、昼休みに
「
あ~んの部分が誰がどう聞いても喘ぎ声みたいなトーンだったので全員の視線が一斉に
それは想定通りだったのか彼女は全く意に介さず僕を手招きする。
「
「お弁当作ってきたから食べさせて」
「あ、そういう」
ネットで仕入れた情報を駆使して童貞の僕が
おっぱいに顔を
「
「そんなこと考えてないから」
「大丈夫大丈夫。男子はみんな、あたし達をそういう目で見てるってわかってるから。ね、
「わ、わたしは……知らない!」
突然話題を振られた妹は赤くなった顔をプイっと逸らした。
そして机にはしっかりとお胸が乗っている。
僕以外の男子も、いや、女子も含めた全クラスメイトが机の上で溶けたスライムのようになったおっぱいを注視しているだろう。
これだけ注目を集めるモノをお持ちならそりゃあ気付いてない方がおかしいくらいだ。
「ちなみにあたしのは
「んなっ!?」
「彼氏なんだし当たり前でしょ。
「もう! 早く二人でお弁当食べに行って!」
「言われなくても。行こう。
「あ、うん」
仲は悪くという印象だったけど、今のやりとりで少し変わった。
勉強も運動も姉の方が上で、それを妹が追いかける。
姉は妹を想い、妹は姉を尊敬している素敵な関係。
それを僕らは寝取りという形で壊そうとしている。
「
「だって
「僕は姉妹の仲が悪くならないか心配だよ」
「そこは安心して。
「そうじゃなくて……」
あんな風に煽ったら仲が悪くならないかが心配なんだけどな……。
「ねえねえ、
「いいけど、あそこベンチとかないよ」
それが当然であるかのように右手を掴まれ、
彼女の言いなりになっている僕は果たして最高の彼氏と言えるのだろか。都合の良い男ではあるだろうけど少なくとも自分が思い描くような彼氏象ではない。
もっとこう、僕がリードして彼女を楽しませたり喜ばせたりするような、王子様的な彼氏になりたかった。
「あたしだってこういうのは恥ずかしいんだよ?」
パッと手を離したかと思えば、今度は左手で僕の頭をその胸に抱き寄せた。
「二人きりの時は、
「こ、こういうのとは?」
残念ながら僕は彼女の頭を包み込むようなおっぱいを持ち合わせていない。
「さりげなく抱き寄せたりとか」
「まあ、そのうちね」
散々自分はおいしい思いをさせてもらって及び腰になってしまう。
寝取られる前にフラれることも覚悟した。
「むふぅ。そういう照屋さんなところも可愛いぞ」
「もがっ!」
そんな僕の覚悟を無視して口にフランクフルトを突っ込まれた。
一般手にはお弁当の中に入れるのってもう少し小さいやつだよね?
「言ったでしょ? あ~んさせてって。少しはあたしのこと本気になってくれた?」
場所が場所だけに昨日の告白が脳裏をよぎった。
フラれてしまったけれど自分の気持ちは伝えられた。
そして、まだ僕は
顔も体型もそっくりだけど性格は全然違う。
あくまでも僕は
だけど、
性欲盛んな男子高校生にとっては理想の彼女だし、本来の意味でも性的な意味でもこうしておかずをもらっている。
「ん~~手強いなあ」
首を縦にも横にも振らない僕に
「そうだ。
半ば強引に箸を握らされて、もう一本のフランクフルトを口に運ぶようにジェスチャーする。
どんな理由を付けて拒否しても
勉強も運動も常にトップを走り続けた自信がそうさせるのか、周りの誰も
「ほら、あ~んして」
体が直接触れ合うようなスキンシップに比べれば箸を介している分ハードルは低い。そう判断して大人しく
だけど、それが間違いだった。
「ん……っ!」
そのままパクっと噛んでくれればいいのに、わざとらしくフランクフルトの先端を舌でチロチロ舐め回す。
色合いが全然違うとはいえ、モザイクをかけたらもうアレにしか見えない。
イメージビデオの世界が今目の前で繰り広げられている。
「
「いははぎます」
口を開けたまま艶めかしい声で答える。
フランクフルトはゆっくりと
まだ成長途中のはずなのでフランクフルトの方が遥かに長い。
つまり、僕のモノならすっぽりと
そんなシーンを想像すれば当然正直な体は反応してしまうわけで……。
「自分の手を使わずに食べるって不思議な感じ。
「そう……だね。自分のペースとは違うからかな。あはは」
こういう事態を収める時だって自分の手を使う。
でも、もしも
なんだか弄ばれて焦らされる未来しか想像できないぞ。
「
「言い方!」
ヤリたいかヤリたくないかで言えば当然ヤリたい。
でも、僕らにはまだ早いと思う。
高嶺の花として近付きにくい印象を抱いていたけど、こうして二人で話すとおバカな面をたくさん発見できる。
「明日はみんなの前であんあんしよっか?」
「それは無理! 殺される!」
「え~?
「まずは二人だけであんあんしよう!」
「キャー!
言いたいことがちゃんと伝わっていないことを嘆きつつ、ひとまず教室での羞恥プレイを避けられそうなことに安堵する。
「
「普通に食べるから!」
それはまるでおっぱい渓谷に生える大樹のようだ。
どんなにブロッコリーが苦手だったとしてもおっぱいがそれを忘れさせてくれる。
男子高校生としてはこんなにもエロに積極的な彼女は願ったり叶ったりだ。
でも、やっぱり僕は負けず嫌いでお姉さんへの闘争心を燃やして頑張る
その想いを断ち切らないために、僕はおっぱいブロッコリーをスッと箸で掴み取った。
おっぱいだけでは僕はキミに本気にならないよ。
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