17話【涙の理由】

愛羅side


部活も引退し、後輩からメッセージの書かれた色紙を渡された。沢山書かれてあるメッセージに思わず泣きそうにもなるが、家に帰ってからじっくり見ることにする。それにしても、ほんとに何も無くなったな。あと待つのは免許を取るための試験と卒業式。みんなとのお別れが徐々に近づいていく。考えたら今は凌央くん私に好きとつたえてくれるが、あれでもモテるほうだ、他の子に取られたらどうしよう…


「…しつこい女は嫌われる。やめよう」


考えるだけ無駄だ。

大丈夫、信じよう。長い冬は私の心を冷たくさせる。



廊下にある手すりにつかまりながら下をのぞき込む。誰もいない。気づけばいつも最後は1人になることが多かった。誰もそばにいなくなって居場所はいつも静かな場所。そう今のように。頼れる友達も、先生もいなかったあの頃のように。


「放課後の一人ぼっちは色々考えるから嫌だな。。」


私が今まで1人で帰らなかったのは、場所が無くなるかと思ったから。あの時みたいに、急にハブられるかもしれない。。


「…なんで今思い出すの。泣きそう」


その場で崩れるように座り泣いた。

廊下は寒い、静かな場所で私の鳴き声だけが響く。帰らないと行けないのに、足は動かない。少し経ったら桃と果歩が来る。我慢だ


「愛羅先輩」


「っ…?!凌央くん。なんでここに」


「なんでって、4階から見えたんすよ。

だから助けに来ましたよ。」


途中から話は聞いてしまいました。

ごめんなさいと、謝る凌央くん。待って私独り言でかかったかな…(うんとても)恥ずかしい。かと言ってそう簡単に言える過去でもない。別にいいよと私は顔を逸らす。


「無理にとは聞きません。でも愛羅先輩

あなたは1人ではないですからね」


中3の時に言われたかった言葉。

凌央くんの優しさにまたもや涙が出そうになる。泣かないでくださいよ笑と少し笑われながらも優しく頭を撫でてくれた。そんな残り少ない冬の登校での思い出

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る