❷【魔法関連】世界の基本設定
◆超高次存在
作中世界の全て(渦ノ柱および魔法、神属、鬼属を含む)を造ったとされる真の創造主。距離も時間も超越した三次元世界の外の存在であり、決して観測することはできない。
但し、作中世界のヒト属は渦ノ柱の管理者こと「
ホムンクルス(後述❺)が述べた超高次存在の喩え
「シャーレの中の微生物は決して外の研究者を知ることはない」
◆渦の柱〈ピラー・ザ・ボルテクス〉
アクシウム洋/支える海の海上に屹立する巨大な黄銅色の塔。「柱」に喩えられるのは直径約八キロ、高さ推定百二十キロに及び、あたかも天上を支えているように見えるため。作中現在より三百年前のシリシス元年に出現し、現在もヒト属により調査が続けられている。
外観は螺旋状に捻りが加わった八角柱。中は空洞で内壁から搭中心に向けて伸びた無人の都市階層(およそ縦幅四百、横幅二千メートル)が螺旋階段のように天井へと続いている。搭の中心部は直径約千メートルに及ぶ吹き抜けで翼竜の通り道となっており、外光は一切届かない。
各階層差は約八十メートル。最上階は高さから逆算して千五百階と推定されるが、翼竜に阻まれ確認には至っていない。作中現在でヒト属が到達した階層は第五階層までである。
地上世界への出現は謎であり、管理者の神属の意図するものでもない。
◆魔法〈事象改変現象〉
世界は超高次存在によって作られ、あらゆる事象は「記述されている」とされる。その「記述」を書き換えることにより事象が任意の状態へと変化する現象を「魔法」と呼ぶ。
「記述」と表現されるのは暗黒媒質が「言語」によって作動するための比喩である。また、それにより世界は「無限の頁を持つ本」とも喩えられる。
暗黒媒質は過去から未来まであらゆる事象の記述なのか、或いは現存する事象全てに干渉する力なのか、ヒト属の間で議論されているが未だに結論は出ていない。
◆暗黒媒質〈ダークメディウム〉
魔法の作動原理を説明するため、存在が仮定されている場の素粒子。質量を持たず、世界のほぼ全ての物質内に透過して存在しているとされる。魔法言語により素粒子間の相互作用に干渉し、任意の事象改変現象を発動する。
超高次存在の見えざる力、世界を動かす物理システムと言え、神・鬼属含む三次元世界の住人には超高次存在と同様に観測する手立てはない。
◆シリシス
暗黒媒質を任意に作動させる「魔法言語」が格納された記録媒体。紙のように薄くスライスされたプレート状のシリークで、数百枚のセットで綴じられた「本」のようなものが渦ノ柱内の至るところに並べられている。何らかの誘導を意図して配置されているが、その真意もまた謎である。
◆シリーク
暗黒媒質の作動に必要な媒介金属。主に杖や指輪など装飾具や術式回路に加工されて使われ、体積が大きいほど術式伝導量が増加する。
魔法言語は空気振動、つまり術式詠唱で入力するが、後に発明された詠唱変換装置(後述❽)による詠唱の記録化が可能になったことで術式の自動化が実現した。
またシリークは渦ノ柱出現以前から世界各地で出土(後述❸❺ 神属と鬼属の戦争で散逸したもの)しており、魔法を独自獲得した魔法使いや魔ノ王が存在し得たのはそのためである。
渦ノ柱の主要構造材でもあり、ヒト属は内壁を削って外部に持ち出している。色が黄銅(真鍮)によく似ているため誤認されることも多いが、全く別の物質である。
◆魔法言語
無数のドットで構成されたマトリクス型二次元図形の集積。一つの集積が一定の規則に従い、始点から終点へと文章的な流れを形成していることから便宜上「言語」と呼ばれている。
ホムンクルスによって解釈された発音(空気振動)をシリークに伝えると、集積個別の事象改変現象が作動する。
作中現在は第五階層まで調査が進んでいるが、階層が上がる毎に難解さが増す状況である。また言語には直接ヒト属には関わりがないものも多く、解析の進捗を阻んでいる。
◆術式
解明された魔法言語の目的別言語セットを「
▪️術式詠唱
魔法言語セットの詠唱は喉音による発音と文法の組み合わせでヒト属の言語とは全く異なる。使用者が発音が近い言葉(語呂合わせ)で二重発声をしているのであたかも詩のように聴こえる。
一般使用には一定の訓練が必要であり、習得難度の高さが後の詠唱変換装置を生んだ。
▪️術式の定義
・魔法—— 事象改変現象全般を指す
・術式—— 魔法言語セットを指す
・術化—— 術式を使って組成や働きを変えられてしまった物や事。変化を指す言葉
・自動術式—— 決められた働きを反復・維持する魔法を指す
・他動術式—— 自動術式の対義概念。都度で詠唱および入力が必要な魔法を指す
・単純魔法—— 単一の働きをする魔法
・複合魔法—— 単純魔法を組み合わせた魔法
▪️術式伝導
基本的に術式は情報であるため、対象に直接接触による術式伝導が最も効率が良い。大気や大地など中間物への経由術式が必要となる遠隔魔法は術式が大容量化するので作動が遅くなる。また、接触面積に比例して伝導する術式量も増える。
▪️魔法戦闘
術式には必ずカウンターとなる消去術式が存在するため、対魔法戦闘は防御および攻撃術式の打ち消し合いとなり術式伝導が高速であればあるほど有利とされる。
▪️魔法強度の概念
渦ノ柱の階層に例えて使用者の魔法強度を示す単位。魔法は目的により偏りが生まれ、正確な能力判定が不可能なため便宜上設けられたもの。一般人は第一階層、魔法使いや魔ノ王は主に第三階層、鬼属は第五階層以上と推定されている。
▪️魔法の禁止事項
大気の改変。気温・湿度・気圧・組成は目視が不可能なため、気体に関わる魔法言語は天上の眷族達によって封印されている。
天上の眷族達が最初からヒト属に扱わせない魔法種別で、扱いを間違えると地上世界の破滅に直結するため。地上世界での運用を定めた魔法制限法とはもちろん異なる。
また、封印の発見によりヒト属は天上の眷族の存在を知り、以降「神」と誤認する。
▪️銀(Ag)
暗黒媒質が透過しない物質の一つで絶縁体のようなもの。主に魔法防御金属として知られているが、鉄など不純物と混合させると特定術式だけ通す半導体へと変化する。様々な不純物比の銀を組み合わせたものを集積回路と呼び、それらを組み合わせたものの一つに術式階差機関(後述❽)がある。
◆魔法の基本原則
無から有を作り出すことはできない。
暗黒媒質はあくまで存在する素粒子の相互作用に干渉するものであるため。
*本設定の世界で魔法は数学や物理学のような学問(現に魔法学がある)扱いとなっていて、魔法が一般化したからと言って一般人が自由自在に使えるものではありません。専門外の理論や数式だけ見て直ぐに意味を理解できないのと同じです。
*本設定の基本構造は「魔法の正体が明かになったため魔法の国家的・社会的管理が可能となり、やがて一般層に降りた魔法が油類や火薬に取って代わって蒸気機関が先行発展した世界」となります。
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