【番外】アイニの記録1
記録としてカイムに書いとけって言われたんだけど、正直俺には記録を残す才能がないので覚え書きくらいで許して欲しいって言ったら、すげぇ怒られたのである程度頑張って書いてはみる、いやほんとこの時点で怒られそうだけどな。
アリスと一緒に入った本、どういう話か事前に聞いてたけど入ったら入ったでひどい物だった。
異質な魔力が充満していた、例えばツァーカブの近隣にある赤王領まさにあんな感じ、つまり血みどろ、殺しはあるし怨霊だっている。
アリスは魔力があんまりないから見えたりはしないけど、移動中は結構まとわりついてたりしてた。
お守りで害はなかったけど、基本的に恨みつらみが多かった印象だ。
この本の中にいるであろう住人達、元凶を食べていた狼達、この本の中に訪れた魔法使いや悪魔達が元凶の貴族に対して怨みや後悔を言っていた。
弱肉強食の世界だし同情はしないけど、流石にこれは食い過ぎだろうっていうくらい溢れていたから俺達が行くまでもなくこの本の世界はいずれ崩壊していただろうなっては思った。
まぁそうならないようにフェネクスが頼んできたんだろうけど、ほっとくとどうなるか今度聞いてみよう。
町に入って気がついたのは監視が多い、宿屋を探すまでに町の至る所に監視の低級悪魔が居た住人にバレないように透明化しつつ建物の影、屋根の上とか隠れてたんだろうけどそれにしては多すぎないか?ってくらいそこいらにいた。
よっぽど俺らみたいな、本の外からやってきた人を探してたんだろうなっていうのはわかったけど。
町の人に宿屋の道を聞くついでに色々聞いてみたけど、どうもよそよそしいそぶりを見せる、特に貴族関連で深く踏み込むとそういうそぶりを見せた。
大方貴族にバレたくないんだろうなっていうのがひしひしと伝わってきた、それ以外は至って普通の一般市民って感じだな。
宿屋着いて女将さんから部屋を案内された後、覗き見聞き耳防止の魔法効果が付いたキャンドルに火をつけた。
流石にこんなに監視されてるんじゃ集中できないっていうか不愉快!
よくもアリスをジロジロ見やがって・・・・・・・・・・・・これ以上ここらへんの気持ちを書くとカイムに怒られそうなのでやめとく。
とりあえず、アリスのために回復効果のキャンドルを使いつつ、宿屋に着くまでに仕入れた情報を3人に話していった。
流石に、町の奴らの様子や過去、怨霊の言葉を含めて貴族が犯人で間違い無いだろう、一応夜に偵察も含めて物的証拠も探してみようと思う。
夕飯を外のレストランで食べていた時も監視は続いてたし、低級の視線とは違う視線を感じたから、町の住人の中にも監視している奴らがいるんだろうなと感じた。
夕飯を終えて宿に戻ったあとはアリスが眠れないようだったから、お呪いで眠らせてそのまま夜の偵察始める。
女将さんに酒場の場所を教えてもらう、酒場は案外宿屋と近かった入った瞬間住人達のへべれけになってる現場に遭遇する。
酒場の主人に話を聞くと、こっそりと此処最近住人が襲われているのが原因で酒場に来る客がかなり多くなってしまったと教えてもらった。
流石にずっと我慢し続けるのは耐えられないようで、酒に逃げているとすぐにわかった。
酒臭いのを我慢しつつ、住人に話しかけて情報を集めていったけどやっぱり酒場を選んで正解だったな、酒のおかげで緩くなってる分色々な情報を聞き出すことができた。
町の歴史や貴族について聞いていったが、次第に聞く相手のほとんどが愚痴をこぼすようになってきた。
一番多いのは貴族に対しての不安というより信頼がもうほぼないと言う事、逆らった奴ももちろんいたそうだがいつの間にかそいつらはいなくなってしまったそうだ。
大方貴族が食べたんだろうと思うが、流石にそういうことが何度も起こると暴動すら起こすこともできずずっと我慢し続けているのだという。
貴族には圧倒的な力があるため、自分達では解決できないそれに嘆いて泣いているものもちらほら見た。
愚痴や鬱憤を散々聞いた後、俺は酒場を出て最近住人が被害にあった場所に向かうことにした。
酒場からさらに歩いく、人がいない不気味な路地にたどり着いた、壁には肉食獣のような引っ掻き傷、血の後は流石になかったけど周りの殺されたであろう霊が漂っていたから間違いなくここが現場だろう。
くまなく探してみると、獣人の毛を見つける、黒い毛で根元あたりが赤黒い独特の毛色だこれは酒場で聞いた貴族の毛色とそっくりだった。
ついでにどの種類の獣人か調べたら山羊と豚どちらもあった、証拠としては十分回収しようとした時だった。
低級が騒いでいた、いい加減に低級の監視が邪魔だったんで俺を監視していた低級を数十匹ほど燃やした。
燃えるのを免れた低級は金切声を上げて貴族の屋敷がある方向へ逃げていった。
とりあえずここいらで偵察を終えて帰宅することにした。
宿屋に着いた時ほんとに腹が立ったのは低級達が部屋に入ろうと窓にびっしりと張り付いていたこと、まるで虫だなと感じすぐに燃やした。
翌朝、鳥がアリスがうなされていることに気がつく、俺は心配になって覗き込むとアリスは起きていたのか驚いて着替えさせて欲しいと言ってきた。
女の子の気持ちはよくわからん、うーん何かしたか?さっきから鳥が何か不満そうな目で見つめてくる。
アリスが着替え終わって朝食をとりつつうなされていた原因について教えてくれた、アリスはこの本の過去を見たのだという。
そして、貴族達の前に現れた人物、おそらくこれが本をそうしてしまった原因であり見つけないといけない人物だろう。
フェネクスには悪いが相手が上位悪魔なら納得と思った。
流石にフェネクスの力が負けてしまってるし、俺はまだ新人みたいなもんだから上位まではわからない、上位悪魔探しはカイムに任せることにした。
俺は3人に昨晩収集した情報を話した、貴族やこの町の歴史を説明した後、事件現場なっていた場所で手に入れた黒い毛を見せた。
アリスは確信した様子で少し緊張していたように見えた。
その時、ドアからノックが聞こえる、女将さんが貴族の所にいる従者が主人が旅人の話を聞きたいからと屋敷に招きにきたのだという。
これは好都合と思った時、アリスがこちらを見ていたからどうやら一緒のことを考えているようだ。
俺は代わりに行くと返事をし、しばらくした後宿屋を後にした。
移動中にカイムとも少し話したが十中八九罠であることは間違いない、でも行かないとまた下級の監視が始まると思うとさっさと片付けたかった。
屋敷に近づくにつれ怨霊と化した霊が多くなっていくのが目に見えてわかるようになった頃、目的の屋敷に到着した。
屋敷の周りは怨霊と下級悪魔がわらわらと群がっている、アリスにはほんとでこれ見なくて良かったと思うくらいは幽霊の中に酷い姿をしたものもいる。
屋敷の執事に案内されて屋敷に入る、外も酷かったが中も相当酷い、特に血生臭い匂いが必死で消されてはいるがこびりついている。
人には分からないだろうけど、俺みたいな獣人はすぐにわかる奴だ。
部屋に入ると貴族達が座っている、うまく獣人になっている様だけど溢れ出る魔力は明らかに“魔獣の物”だった。
おそらく、上位悪魔は彼らを力を使うたびに魔獣化が進行していく魔法でも施していたのだろう、次第に自身の器には抑えられないほど力が溢れているようだった。
悪魔でいうことの下級の上くらいじゃねぇかな?理性的なように見えてそれを必死で保っているみたいだ。
にやにやと笑ってる気持ちの悪い奴らだ、女の山羊がひそひそと喋っている仲間を叱りつけると俺達に座るように促されそのまま座る。
少ししてから執事やメイド達がお茶を運んでくる、匂いですぐ分かったが毒入りだ、まじで騙す気ないのかこいつら?という呆れた感情しか沸かない。
アリスの方はカイムが指示してくれているから大丈夫だろう、本当なりふり構わず早く食べたいって言う魂胆が見え見えで呆れていた感情が殺意になりそう。
さっさと終わらしてこの本を修復すべきと判断し俺はお茶をそのまま飲む、毒は元々毒耐性がついててこういった毒はあんまり聞かない、上位とか神様級の毒だと流石に無理だろうけど。
アリスが心配して声を慌てていたので後で説明しないとなと思った、貴族達は飲んだことを確認してニヤニヤとまた笑い始めていた。
そして、貴族達から町の外の話をして欲しいと頼まれ俺達はツァーカブなどの話をすることにした。
貴族達はとても外の話でうっとりとしている印象だった、大方こいつら美味しそうな餌があるとか思ってんだろうなぁと俺が思っていると、アリスが何か気がついたようだ、どうやら貴族達の何人かが腕をかいたり、足を揺すったりしているおそらく禁断症状でも出ているのだろう。
俺も終わらそうと貴族達に町の住人が襲われている件や監視されていた事、このお茶に毒が入っている事を話す、惚けたように山羊の貴族は何のことだというが、流石に俺も限界だったさっさとこのくだらない茶番のようなものを終わらせたくてたまらない。
当初ニコニコしていた顔も次第に歪み、全員が息が上がり興奮しているのがわかる、何か喋ってるかと思えば一番喋っていた二人が立ち上がると笑い出す。
残りも立ち上がり笑い出すとしばらくして身体が軋み始める、魔獣化し始める貴族達も限界が来たようだった。
一匹が机を壊しこちらい突進してきた、素早く俺は前に出て炎魔法で対処していく、カイムが素早くアリスに逃げるように声を上げてくれたんで、俺はそのまま魔獣化し襲ってくる奴らを燃やし脱出までの道を開けようとしていた時だった、アリスが執事達の方に向かって行くのが見える。
しまったアリスの後がガラ空きじゃないかそう思った矢先、魔獣化の一匹がアリスの方へ向かった瞬間だった、旦那のお守りが一瞬で光った。
光の柱が立ったかと思うと一瞬にして屋敷が爆発というかこれは焼け落ちたと言うべきか・・・・・・。
相変わらずすげぇお守りっていうか加護というか・・・・・・というか威力がえぐい・・・・・・簡単に作ったものだじゃないだろ・・・・・・。
俺と小鳥は必死にとっさの防御魔法でギリギリ耐えれたが流石に魔獣は耐えきれなかったようだ全員跡形もなくお守りの効果で消し飛んでいる。
アリスとその周りにいた無害判定されていた執事やメイド達は無事だ、消し飛んだ屋敷後に俺と小鳥以外は気を失っている。
俺は執事達を叩き起す、全員起きた瞬間俺の顔を見て怯えた顔をしていたが貴族は死んだんでさっさと帰るように指示する。
彼らが慌てて屋敷を離れていくと気絶していたアリスに駆け寄った、怪我はしていないみたいだそのままアリスを起こすと彼女はあの時自分は死んだと思っていたようだ、まぁそうだよな確かにあんなことがあると流石にそう思う。
危ない事をしていたアリスを叱ると彼女は深く謝る、まさかあの執事達を助けるとはとにかく彼女が無事でなによりだったけど。
その後はアリスが無事だったのは旦那のお守りのおかげということ、まさかのお守りで屋敷が消し飛んだということを聞いて驚いていた。
本が黒くなった原因が消えたのでこの本自体はもうしばらくすると元の本へと修復できるようになる、文章を直し魔術で再修復する本来の作業は作った本人であるフェネクスに任せる、俺達はあくまで原因除去担当の修復係みたいなものだ。
俺達は町の住人が来る前に早く町を出ることにした、流石に消し飛んだ時の音もすごいはずだしさっさと帰ってアリスを安心な場所で休ませてあげたいと思ったからだ。
住人に会わないように少し隠れながら移動していると、警備兵のような奴ら達が慌てて屋敷の方へ走っていく姿を何度も見た。
その他の住人は驚いている者、喜んでいる者、泣いている者色んな奴らがいた、結局貴族達は信用はされているが信頼はされていないのだと実感した。
町を出てると俺はアリスを抱き上げるとそのまま素早く走り抜け最初についた場所まで移動した、道中アリスが恥ずかしいとかなんとか言っていたが流石にさっさと出たかったので却下した。
最初についた場所に着くと、入ってきた扉と同じ扉がポツンと置いてある、フェネクスはそのまま扉を入ると外に出られると説明してくれた。
俺達は扉を開け中に入る、あぁやっと仕事が一つ終わったとホッとした。
えーっとこんな感じでいいのか?
えっ!?書き直し!?ふざけんなよ!!俺そもそも文章なんて書けるわけないだろ!?文句を言うなとかそう言う問題じゃない!
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