【番外】 ある貴族の日記

 XXXX年 ○月○日


 今日から、日記をつける事にした。

 神様から日記を付ける事を薦められて、過去なんて思い出したくないけど、今後を考えるときっと役に立つって言ってた。

 とりあえず覚えている事をまとめておこうと思う。

 私達家族はずっと狼に食われそして助かるそんな人生を永遠と続けている、この人生に終わりはない、食べられて助かってそれからあたりが真っ暗になったと思ったらまた初めからやり直しになる。

 そんな人生に家族みんなが違和感を覚えて次第にこの人生に解放されたいと思うようになったそんな時、神様が現れてこの人生から解放してくれた。

 狼を倒せるだけの力を手にいれた、これで私達は狼よりも強くなった。

 その日、母の外出中にやって来た狼を私達は殺した。



 XXXX年 ○月△日

 

 昨日殺した狼の死体を見た母にひどく怖がられそして怒られた、どうしてそんなに怒るのか分からなかった。

 あんまりうるさいから兄妹の一人が母を殴り殺してしまった。

 昨日から何も食べてなかったからひどくお腹がすいた、少し腐ってきたのか狼の周りにはハエがたかっている。

 なんとかしないとこのままじゃ部屋が大変なことになる。

 兄妹と話し合って二人とも食べることにした。



 XXXX年 △月○日


 お肉はとっても美味しいのだとあの時知ってから、兄妹は頻繁に森の動物達を襲うようになった、日に日に神様からもらった力も強くなって熊だって簡単に殺せるくらいまで強くなってきた。

 でも力を使うたびにお腹が減っていくのがわかる、そしてただの動物だと力や空腹も回復しないと分かった。

 狼と母のように獣人でないと意味がないとわかった。

 私達は飢えを満たすために獣人を狙うことにした。



 XXX○年 何月か覚えてない


 山羊の農夫、宅配をしていた鳥人、狩人の狐、牛と子牛ーーーー。

 獣人の中でも草食獣は力の回復が少し低い。

 肉食はやっぱり力を回復しやすい。

 


 XX△□年 

 

 沢山狩っていたから獣人も動物もいなくなった、飢えが酷い、兄妹と話し合ってこの土地を離れることにした。

 平原に着くとなんと神様に出会った、私達の土地のことを聞くととっても興味深そうに聞いてくださった。

 神様はこの平原に住んでいる豚の獣人達も私達と同じことになっていると聞いたので是非とも助けてあげて欲しいと頼まれた。

 私達はすぐに兄妹と一緒に豚の獣人を助けた、そして彼らにも神様は力を与えてくれた。

 狼を殺して全員で食べた、久しぶりの狼の肉だった。


(中略)



 X□X○年


 豚の兄弟と共に町を作ることにした、私達の力を偉大と感じ私達に守ってもらおうとやってきた獣人達が沢山現れたからだ。

 私達は全員で町を作った。

 餌は“外”にいるんだ、この町は私達が守る、みんな昔の私達みたいに狼達に襲われる奴らばかりなんだから守ってあげなくてはならない。

 町を作ってしばらくした時、旅人と名乗る人にあった、神様には聞いていたけど初めて人間に出会った。

 人間は美味しかった



 X□□○年 

 

 不定期だけど旅人の人間はくる、人間のような奴らもくる食べるととても美味しい。

 力も沢山持っている、これは便利だと思った。

 人間達旅人は“此処とは違う外”からやってくるらしく、そこはとっても人が沢山いるらしい。

 羨ましい。

 もう、町の外には数えるほどくらいにしか食べるものが少なくなって来たから。

 町の発展とともに私達の餌がどんどん減っていく。

 

(中略)


 X△○X年

  

 もう、数十年旅人がやってこない、力が減っていく、飢えが酷い、豚の兄弟と私の兄妹の中には自傷行為をするものも出てきた、限界が近づいている。

 支えているメイドが怪我をした、それを見てみんな耐えられなくなって食べた。

 よくよく考えたら此処にもご飯はあるじゃないか。 

 

  

 X○XX年 ○月□日


 町の住人も何人か餌にし始めた。

 このままでは町に誰もいなくなってしまうかもしれない、早急に対応しないといけない。

 狼が出たと町の住人に伝えてもしばらくすればバレてしまう、なんとかしなければ。

 


 X○XX年 □月○日


 町に女と男の旅人が来た。

 一人は人間、もう一人は人間に見える奴だと思う、これで安心だもうしばらくは大丈夫。

 旅人をいつものように案内しよう、そうだ今度は旅人達に“此処とは違う外”の話をしてもらおう。

 そして、私達が外に出られる方法を聞き出すんだ。

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