第14話 モネ
「あらタロー様お帰りなさい」
屋敷へ戻るとモネが出迎えてくれた。
モネはメイドの中でも1番歳上でみんなのお姉さん的存在だ。
長い髪を緩くフワッと巻いているところもお姉さんポイントを押し上げている。
あと胸がでかい。
「あれシスハは?」
シスハが見当たらない。
「シーちゃんなら買い出しに行ってますよ~♪
タロー様はお城への呼び出し、何の用だったんですか?」
「昨日ライズが成功したらしい、その事でちょっと話してきただけだよ。」
「まあ!おめでとうございますぅ♪
今夜はご馳走にしないといけませんね♪」
モネはとても嬉しそうにお祝いの言葉をくれた。
その日の晩は異世界に来てから特に豪勢な食事が振る舞われた。
ハート型のハンバーグはモネのお手製で愛情がたっぷり入っているとの事だった。
◇ ◇ ◇
就寝時間となり自室に戻っていた太郎の元に扉を叩く訪問者がいた。
誰だろうと思いながら扉を開けるとそこにはモネが立っていた。
「お邪魔しても良いですか?」
「ああどうぞ」
とモネを通すと彼女はベッドに座った。
「タローくん、こっちに来て下さい。」
タローくん?
ちょっと引っ掛かりながらも言われるがままベッドに座る。
するとモネは太郎の肩を掴み自分の方へと倒す。
「え~と、何これ?」
「膝枕です♪」
「膝枕は分かるんだけど何で膝枕してんの?」
何故いきなり歳上のお姉さんに膝枕をされているのか疑問を口にした。
「タローくん、お城で何か嫌な事あったでしょ?」
嫌な事という訳ではないが「もしも」という後悔の念は抱えていた。
「嫌な事があった訳じゃないよ」
「お姉ちゃん、ちゃんと見てるんだから。
帰ってきたらとっても疲れた顔してたよ?」
「そんな顔に出てたかな?」
「タローくんは知らない場所に1人で来て不安だったよね。
それでも弱音も吐かずに頑張って偉いね、凄いね♪
でもね、疲れた時はゆっくり休む、困った時は人に頼る、1人で頑張らないでい~っぱい甘えて良いんだよ?」
と言いながら頭を優しく撫でてくれた。
モネは屋敷に帰った時から顔色を見てずっと心配してくれていたのだ。
自分の事をこんなに気に掛けてくれる人がいただなんて…。
ありがたい、目頭が熱くなった。
この感情を何て言うのだろうか…
遠い幼い日の記憶…
そうか…これが母性というものなのか
そんな事を考えながらくるっとモネの顔を見上げて言った。
「モネ…心配してくれてありがとな」
「ん…おっぱい吸う?」
「吸いません!!!」
自分は赤ちゃんでは無いというのに唐突に何を言うのか、とモネを叱っていると突然ドアがノックされた。
「ヤバい!隠れて!!」
「いやん♪」
咄嗟にモネと一緒にベッドのシーツに潜ってしまった。
やましい事がある訳じゃないのに何故隠れたのだろうか?
そんな疑問が頭を
またシスハだろうか?
ドアが僅かに開く音がする
長い沈黙
緊張が走る
ドアが静かに閉じる音がした。
すでに眠っていると思い立ち去ったのだろう。
安堵する…がそれと同時にシーツの中はモネの甘い香りが充満しており頭がクラクラした。
女の子って何でこんなに良い匂いがするのか?と考えていると吐息が耳に当たった
「 ドキドキするね… 」
モネの囁き声が耳から脳に入り脳がとろけそうになってしまった。
慌ててベッドから飛び降りる
「かくれんぼはもう終わりですか~?」と言いながらニコニコしているモネ
「終わり!終わり!はい解散!」
照れ隠しで退室を急かす。
「うふふ、タローくん♪
またいーっぱい甘やかさせて下さいね♪」
そう言うとモネは自室へ戻っていった。
歳上のお姉さん、威力半端無い、と思った太郎なのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます