第13話 一夜明け

昨夜は色々と大騒ぎになって大変だった。


以下回想~


「違うんだシスハ!LOVEの好きではなくてLIKEと言いますか…」


「え…お兄ちゃん…ニーアの事好きじゃないですか?」


悲しそうな顔をするニーアを見て


「ニーアの事大好きに決まってるじゃないか~!」

とまた抱き締める。


「やっぱり幼女が好きなんじゃないですか…変態」


そしてまたシスハに白い目で見られる。

これの繰り返しであった。


回想終わり



今日はシスハがおやつに紅茶とケーキを用意してくれるというので庭で頂く事になった。


ガーデンテーブルとチェアが用意されている。


庭でおやつを頂くなんて優雅で貴族にでもなった気分だ。


今まではコンビニで買ったスナック菓子とチョコレートを食べながらゲームしたり映画を観たりの生活をしていた。


自然の中でのんびり過ごすのも良いものである。


シスハが紅茶を淹れてくれた。


「あれ?シスハも一緒に飲まないの?」



「それではお言葉に甘えて」


シスハも隣に座り紅茶を注ぐ。

すると彼女は角砂糖を3つ入れた。


「シスハは甘党なんだ」


「知らなかったんですか?減点1です」


ひどい!


何故か理不尽に減点された。

彼女の事は何でも把握しておかねばならないという事だろうか。


ふと気になったので何の気なしに聞く


「そういやシスハって何歳いくつなんだ?」


「ニーアは10歳です」


「いや…シスハに聞いたんだけど…」


「タロー様はニーアが好きなんでしょ?私の年齢なんてどうでも良いじゃないですか」


そのネタまだ引きずるのか、という表情を見せると


「というのは冗談です」とシスハは笑ってみせた。


「16歳ですよ」と答えるシスハ。


「マジで!?同年タメじゃーん!」とちょっとテンションが高くなり爪先から頭まで見渡した。


するとシスハは身を守る様に腕を抱え言った


「同い年と分かるや興奮して肢体を舐め回すように見るなんて…えっち」


「いや違うよ!?」


確かに同い年なのは嬉しかったが決して興奮した訳ではない。


そんなやり取りをしていると街の方から馬車が近付いてきた。

王家の使者であろう、何事かと出迎えにいく。


使者を招き入れると

「国王がお呼びです。お迎えに上がりました。」との事だった。



───────────────────────



玉座の間に通されるとレオナルド・J・ハートロックが待ち構えていた。

傍らにはロドリゲフもいる。


「タローよ、わざわざ呼び立てて悪かったな。


まずは初めてのライズおめでとう、そして感謝する。」


王がそう言うと何を言われているのか分からなく一瞬固まってしまった。


「え?ライズしてたんですか?」


「なんだ気付いていなかったのか。

ライズ盤には火が灯り余も力が溢れてくるのを感じるぞ。

そちらでは何か変化は無かったのか?」


あった


言われてみれば体が僅かに光り飛んでいったのが気になったのだが…


その後修羅場になってすっかり忘れていた事は伏せておこう。


「して、誰とライズしたのだ?シスハか?

ん?申してみよ」



「王…」


野暮な事を聞く王にロドリゲフが口を挟む。


「えーと…ニーアちゃんです」


「すまぬ、良く聞こえなかったのだが」


「ニーアちゃんです」


長い沈黙が続いた


「なん…だと…!?」


王は驚き戸惑っている。


「まあ…幼い女児が好きな者もいるとは聞いた事がある


何、余は心が広いからな、些末な事よ!ハーハッハ!」


「違いますからぁ~!!!」


太郎は泣きながら弁解した。


危うく太郎は王国公式ロリコンに認定されるところであった。



◇ ◇ ◇


話を聞いたロドリゲフが口を開く


「もしやライズとは相手のラブパワーが100%であれば良いのかもしれませんな」


やかましい


「実はライズを駆使して戦をしたのは約100年前の人魔大戦が最後でして、生き証人がいないのです。


文献以上の事は分かっておりませんからな、タロー様にもライズの条件等を検証して頂ければ幸いですじゃ」


ライズの検証か…

確かに今後どういった条件下でライズが発動するのか理解出来れば大きなアドバンテージになりそうだ。

意識しておこう。


別れの挨拶を済ませ玉座の間から退席した。



───────────────────────



廊下を歩いているとクリスと出会した。


「タロー…おめでとう、ライズ出来たんだね」


「全く意図しない状況下だったけどな。

お前も強くなれたのか?」


クリスにそう問い掛けるとクリスは自分のステータスプレートを取り出し太郎に差し出した。


目を通すと以前見た時よりステータスが跳ね上がっていた。


「まるで自分の体じゃないみたいだよ。

今なら何だって出来る気がする。」とクリスは言った。


「俺が…俺がもう少し早くライズ出来ていれば


マッシュは死なずに済んだのかな。」


そう溢すとクリスはすかさず言葉を返した。


「それは違う。

マッシュを助けられなかったのは現場にいた僕たちの責任だ。


君が負い目を感じる必要はない。

マッシュだって君のせいだなんて微塵も思っちゃいないよ。」


クリスは更に続ける


「マッシュも君が来てくれた事によって未来さきを見てた。

君は大海に航路を示す一縷の光なんだ。


だからどうか、そんな風に考えないでくれ」


そう言ってクリスは微苦笑した。



クリスと別れ帰りの馬車で揺られている中、クリスに言われた事を何度も思い出し、やがて眠りについた。

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