第10話 ステータスプレート

太郎はハートロック城の練兵場にいた。

先日のクリスとの約束通り一緒に体を鍛えさせて貰う為だ。


「精が出ますな太郎殿」


騎士団長のハインツにも挨拶される。

体等このかた鍛えた事の無い太郎にとっては軽めの筋トレでも苦行でしかなかった。


「みんな良くこのトレーニングを軽々こなせるよな」


「これを本職としてやっているからね、それにハートロックの民の命を背負ってるんだ、泣き言は言ってられないよ」


相変わらずのイケメン力を発揮しているクリスが答えた。



「今日の訓練はこれくらいにしよう、タローに第6班のみんなを紹介するよ」


クリスの所属する第6班は6人編成であった。


クリス、マッシュ、ニキ、ルード、リロ、ピーノの6人だ。


皆、太郎が訓練に参加しても快く迎えてくれた。


「タロー様期待してますよ!」と声を掛けるのは強面のルード


「みんなタロー様が来てくれて希望に満ちてるんだな」と続くのは少し体が丸いピーノだ。


「俺が本当に力になれるのか実感が湧かないけど…レベルアップってすると実感として分かるものなのかな?」


疑問を口にした。


「レベルアップが実感で分かるのかはしてみない事には分からないけど、みんな自分の戦力値はステータスプレートとして持っているよ」とクリスが答えた。


クリスは自分のステータスプレートを差し出してきた。


クリス・レイゼン

【レベル】 1

【HP】 36

【MP】 3

【力】 16

【知力】 5

【体力】 20

【敏捷】 12

【攻撃力】21

【防御力】18


なるほど確かにゲームのテンプレみたいだ。


「これどういう仕組み?」


「神殿で加護を授かった時に渡されるんだ」


原理は神のみぞ知るという事か。


実際このプレートの数値が変動したらまた見せて貰う事にしよう。


そんな事を考えているとマッシュが肩を組んできた。


「タロー様、女は良いもんですよ」と言いながら首もとのロケットペンダントを取り出した。


ロケットを開くと女性の肖像画が入っていた。


「幼なじみのレナっつうんすけど、年頃になったらお互い何か意識しだして付き合う事になったんす


守るべき人がいると絶対負けないぞって気になります!」


マッシュは幸せそうに満面の笑みを浮かべた。

うーむ、まだ彼女がいない自分には羨ましい限りだ。


「今度の防衛任務から戻ったらプロポーズするつもりなんすよ!」


それを聞いてみんな盛り上がった。

プロポーズに成功したら祝宴をあげようとはしゃぐ班員達


この流れに何だか嫌な予感がよぎるがフィクションじゃあるまいし、余計な事を言うのは野暮ってもんだ。


マッシュに祝福の言葉を述べ任務の無事を願った。

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