第7話 2日目
異世界に来てから一夜が明け太郎はハートロック城の兵士詰所にいた。
「女性は逞しくて頼りになる男性に心惹かれるんだってさ」
「ははっ刺激的な夜になった様だね」
「言い方」
昨夜の出来事を聞いてくれているのはクリス・レイゼン師匠だ。
「確かに騎士として好きな女性くらい守れる存在で在りたいと思うね」
「俺は騎士じゃないけどな」
「タローも修練場で一緒に鍛練してみるかい?
体を鍛えれば自ずと自信も溢れてくるものさ」
確かにそれは一理ある
それに何があるか分からない異世界において鍛えておいて損になる事もないだろう。
「そしたら時々お願いしようかな」
「ああ!騎士団のみんなを紹介するよ!」
雑談を終えクリスと別れると城内を歩くロドリゲフに出くわした。
「おやタロー様、翌日に城においでとは何かありましたかな?」
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ロドリゲフの自室で話を聞いて貰う事になった。
成る程大賢者と言うだけあって書物で埋め尽くされた部屋だった。
応接間と言うには若干狭いがソファとテーブルは一応ある様だ。
「ふむふむ、それで上手くやっていく自信がないと?」
「早速シスハにも幻滅されたみたいです」
ロドリゲフにもクリスと同じく昨夜の話を聞かせた。
「ふふ、あの子はそんなに心が狭い子じゃないですよ
人の事を良く見てる、優しい子です」
そうなのだろうか…言葉の一つ一つがボディブローとなり全身を突き刺した為屋敷に居辛くなりこうして城に逃げてきた訳だが…
「今までタロー様がどの様な経験をしてきたかは存じませんが、ここはタロー様が住む世界とは価値観も何もかもが違います。
元の世界で通用しなかったからと諦めるのは尚早ではないでしょうか?
タロー様に魅力を感じる女性も沢山いるかもしれませんぞ。」
そうなのだろうか?
「それに…」
ロドリゲフは続ける
「一番大切なのは相手に対する誠意だと思うのです。
不器用でも相手を大切に想う気持ちがあればそれは伝わるのではないでしょうか。
愛に正解などありません。
タロー様なりに愛を表現していけば良いのです」
賢者は愛の物語にも詳しいのであろうか
「ありがとうございます、ロドリゲフさん
何だか気持ちが楽になりました。
気負わずやっていこうと思います。」
悩んだってどうしようもない事もある
自分は自分であり小手先のテクニックなんか身に付けても本質は変わらないのではないか
だったらロドリゲフの言うとおり相手の事を考えてみよう
そう思う太郎なのであった。
* * * * * *
すっかり日が暮れてしまったが屋敷へ戻るとメイド達が外で整列して待ち構えていた。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
シスハ、モネ、ニーア3人とも笑顔で出迎えてくれたのであった。
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