第5話 新生活
その屋敷を見て太郎が開口一番発した言葉はこうだ
「「「嘘つき!!!!!」」」
ハートロック王は決して大きくはないがと言っていたではないか
太郎の実家は犬小屋か何かですか?と言いたくなる程比べてしまえば差がある。
外観からでも部屋が10以上あるのは容易に想像がつく。
庭には噴水もあり隅々まで手入れが行き届いている。
「そんなに驚かれますか?」
トランクを片手にシスハが馬車から降りてきた。
「そりゃそうだよ、こんなの俺の国じゃ大豪邸って言うんだ、実際こんな家見た事もない」
素直に感想を口にすると
「そうですか、国賓のご主人様が生活されるには些か小さい方だと思いますが」
と言いシスハは少し怪訝な表情を見せた。
何か気に障る事でも言ったであろうか。
玄関に向かい歩いていくと二人のメイドが待ち構えていた。
「お初にお目にかかりますご主人様
本日より身の回りのお世話を担当させて頂きますメイドのモネと申します、何卒宜しくお願い申し上げます。」
そう挨拶し一礼したのはシスハよりも身長が高く柔らかい物腰のメイドだった。
柔らかいのは印象だけではなくお胸が大分、いやかなり立派で柔らかそうだなぁと思ったのも要因ではあるが。
「お、同じくご主人様のお世話を担当させて頂きます、メイドのニーアです、よろしくお願いします!」
対称的に小さな身長…というより10歳くらいであろうか
少女がメイド服を着て隣に立っていた。
髪はショートボブというのだろうか、短い方だが女の子らしくて可愛い。
「恋石太郎です 、二人とも宜しく!
ニーアちゃんってそんなに小さいのにもう働いてるの?」
「幼い女児が家にいても何の稼ぎにもなりませんからね。
ニーアくらいの年齢から奉公に出すのは特別珍しい事ではありません。」
シスハが説明してくれた。
当然と言えば当然だがやはり現代日本とは価値観が色々と違うらしい。
「さあ、お部屋へご案内致します。中へ入りましょう。」
異世界での新しい生活、扉は開かれその第一歩へと足を踏み入れた。
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屋敷の主として割り振られた部屋は屋敷の中央にあり如何にもな『書斎』という感じであった。
うーむ何をしようか今の自分には持て余してしまう部屋だ。
そして寝る部屋は寝る部屋で大きなベッドがあり別の部屋だったのだ。
一人部屋が貰えただけで大喜びしていた学生には十分過ぎる衝撃だった。
そして今は夜
食堂でメイドの作ったディナーを頂こうという場面だ。
左後方にメイドが3人並んで待機している。
凄く落ち着かない。
「頂きます」
テーブルに並んだ銀食器を手に取ると
「ご主人様、ナイフとフォークは端からお取り下さいませ」
とシスハに注意されてしまった。
「なぁみんな一緒に食べないか?
凄く落ち着かないんだけど、誰かいる訳じゃないし別に良いだろ?」
ばつが悪くなってそう提案するとシスハは
「ご主人様がそうご所望よ。二人とも一緒に頂きましょう。」
と席に着いてくれた。
「あらあら、タロー様は食器の扱いが不慣れなんですね、モネがあーんしてあげましょうか?」
「け、結構です!」
モネのたわわな胸元がチラリと見え顔を真っ赤にしながら食事を進めたのであった。
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