第7話趙雲子龍

 近くにいると殴られるから距離だ。

 距離をとるしかない。

 だけどあまり距離をとると、異次元の中に入ってしまうのである程度も必要だ。

 風切り音とともに、僕の顔の真横に弓が通り過ぎ頬から血が出た。 

 怪力だけではなくて弓も使えるのか。

 しかもあれだよ。

 島原に刺されところがまだ完治していないから、胸から血が噴き出してきた。

 そんなこともお構いなしに女子生徒から弓が嵐のように降りそそいできた。

 1矢が僕の胸に突き刺さり僕は後ろ向きで地面に倒れ、そこで僕の意識は完全に消えた。


 天道のやつ死んだのか。

 それにしても島原のやつ強ーな。

 いったいなにになってやがる。

「島原先生あんた誰になったんだ?」

張飛益得ちょうひえきとくです」

 まさか昔の同じ仲間が敵になるなんて。

 多分俺より強いとは思うけど、昔の話しだし今はベストで戦うだけだな。

「趙雲子龍参る」


 俺は剣を投げ捨て槍を出現させた。

 相手が槍なら俺も槍でいくしかあるまい。

 

 島原の振り下ろされた槍を水平に槍をしてガードしようとしたが、あまりにもの力で立っていた場所の地面がひび割れた。

 島原の連続で斬りかかってくるので、防戦一方になっていた。

 この力と速さこれじゃあなにもできない。


 島原の攻撃を受け止めているところに弓が俺の左足に刺さった。

 そこに気を取られた俺の一瞬を見逃さず、島原は横一閃で急遽ガードしたがそのまま吹っ飛ばされ後ろにあった木に背中を叩きつけられた。


 島原の横には女子生徒が弓を射抜き終わった姿があった。

 右足に力を入れて満身創痍の体を奮い立たせて、なんとか立ち上がった。

 島原は女子生徒に巴御前ともえごぜんと呼んでいて、射抜いてとどめを刺せと指示していた。

 キリキリっと弓を弦に引く音がきこえ、俺に向かって巴御前から弓が射抜かれた。

 避けようと思ったが、足が思い通り動かなかった。

 顔に弓が当たるまでの数センチの距離で、もうダメだと思って俺は思わず目を瞑った。


 ガキンと音がしただけでいつまで経っても、俺に弓がこなかった。

 目をあけるとそこには………おっさんがいた。

 そこにはじゃないな。

 少し遠くのところからおっさんの姿が見えた。

「おやおやこりゃあまたずいぶんと渋い人が現れましたね」

 島原がおっさんに向かってボソッと呟いた。


「ここはどこじゃあいったい?」

 儂は自分の胸の上に矢が置いてあり、近くには弦があったのでそれを手に取ったら、遠くから弓を引く音がした。

 なにやら小娘が今にも倒れそうな小童を弓で狙っていたので儂は自分で持っている弓を使い相殺させた。

 にしてもまだ豊臣秀吉様は天下を統一していないのか。 


「ありがとうございました助かりました」

 小童のところに近付いたらなにやら感謝をされたんだが。

「ちょっと痛むぞい」

 小童の足に刺さっていた弓を抜いたら悲痛の叫びと共に気絶した。

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