第6話島原巧

 いや、違う。

 よくみると僕の本とはまったくの別物だ。

「この本はこの地上に何冊も散らばっている。だけどお前の本は他とは違い一級品なんだよ。だからお前は狙われるんだよ。本を渡されたやつからなにをきかされたが分からないが、俺はこの本を最後まで持っていた奴がきいた」

 僕がきいた話しとはだいぶ違うな。

「俺の本はこのとおり」 

 暁月はページをペラペラとめくり、僕にみせてきた。

「…あれ文字が?」

「そう。文字が書いてないんだよ。書いてあってもほんの数ページ。あと2、3回誰かになったらこの本は消える」

「消えたら願いが叶うんじゃあ?」

「願いは叶わない。本の所有者全員を倒さない限り」

「え、でも僕は「そうそれはお前の本が特別だから」

「それと気になったんだけど誰かになったらって?」

「お前本当になにも知らないんだな。なにかの条件が発生したら、歴史上の人物にかわる」

 それじゃあ僕は覆面の男を無意識に倒していたのかも。

「まぁとにかく本の所有者全員を倒して最後の1人になったらなにかが起きるってことだ」

「別に本を奪ったからって燃やしたりは出来ないんでしょ?」

「あー出来ないけど、その所有者になることはできる。さてとそんな話しはいいとして、お前の本を取り戻しに行くぞ」

「いまから?」

「当たり前だろ。敵は担任の島原とあの女だな。それじゃあ行くぞ」


 僕の家につくと異次元の裂け目が現れていてどこかにいこうとしていた。

 暁月の本が光だし暁月の雰囲気が変わった。

「暁月君なの?」

「あー。俺は俺だけどどうやらのりうつったのは趙雲子龍」、

「趙雲子龍?」

「三国志時代でもトップ5には入る強さ。そして蜀五大将軍の1人。それが趙雲子龍」

 自覚症状はあるとはいえ、先ほどまでの暁月君とは違い性格、感性、感覚全てが別人と思えるほどだ。

 暁月は青紅剣せいこうけんを具現化させて手に持ち、島原に真っ直ぐ突っ込んだ。


 島原もなにかに変わったらしく、暁月の刀をいとも簡単に受け止めた。

 そしてもう1人の女子生徒は異次元の裂け目に入ろうとしていたので、僕は正面に立ち進路を防いだ。

「ちょっとそこどいてよ?」

「その前に僕の本返してよ」

 女子生徒もなにかに変わったらしく、僕の胸に殴りかかってきた。

 女子生徒の一撃は重く入り、呼吸ができなくなり倒れそうになったが、なんとか踏ん張って倒れるまではいたらなかった。

 それにしても人間技じゃないなこの力。

 次もしも女子生徒から一撃もらったら、肺に肋骨が刺さり致命傷はさけられないだろう。

 

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