第3話伝説のプロファイリング

 そんな思い出にふけっていたら、覆面男は俺に躊躇なく襲い掛かってきた。

 刀を振り下ろしてきたので、長い棒で受け止めようとしたら『スパン』と先ほどとボールペンと同じように真っ二つにされた。

「おいおいなんちゅう切れ味だよ。二刀流は得意じゃないんだけどな」

 俺は切断された棒を片手に1本ずつ持ち、あのとき宮本武蔵が構えてていたように俺も構えをとった。

 覆面男と俺はまた向き合いしばらくお互い動かなかった。

 それは次の一撃で勝負がつくことをお互い分かっているからだ。

 

 朝日が顔に照らされたと同時にお互い動いた。

 覆面男は刀を振り下ろしてきたので左手の刀で受け止めようとしたが、真っ二つに折られそのまま右肩に刀が刺さった。

 多少なりとも相手の刀のスピードを少しでも殺したので、右肩に刺さったままで右半身を切り落とされる事はなかった。

 俺は激痛に耐え、右手に持っていた棒を左手に投げ渡して、上から相手の頭を振り下ろした。

 相手の顔はたったまま下を向いている状態になり、俺の棒は砂浜に刺さった。

 左手首を返して棒を振り上げたので、覆面男の顔にクリーンヒットして、相手は後ろから倒れた。

「秘剣燕返し」

 覆面男は気絶していて起き上がる事はもうなさそうだ。

 俺も刀が刺さったまま後ろに倒れた。

「これで思い残す事はねーや」

 何故か図書館にあったはずの『伝説のサムライ』の本がここにありパラパラとページがめくれ佐々木小次郎の所で止まり、そのページだけが燃えた。


『ゴホゴホ』

「あれ僕はなんでこんな所に」

 あれ覆面男はどこにいった………って目の前に倒れてんじゃん。

 しかも僕の服に大量の血がついているが痛みはない。


 目の前の空間がうねうねとうねりだした。

 この気持ち悪い光景をどこかで見た事あるんですけど。

 その異次元の歪みから僕を蹴飛ばした美少女がでてきた。

「おめでとう。お前にはこの先2つの選択肢しか選ぶ事が出来ません」

「ちょっといきなり何を」

「まずそこに落ちている本と私が持っているこの本、2冊分を抹消する事ができればお前はこの世に再び生を宿す事ができるだろう。そこでさっきまでのびてたやつは先頭不能とみなし魂が天界に強制的に送還された」

 さっきまで覆面男が倒れていた場所を見ると、姿が消えていた。

「送還された事により私の持っている本にはそいつが載っていたリストが抹消された。この2つの本は燃やしたり濡らしたりといかなる事をしても消す事は出来ない。方法はさっきのとおりだ」

「さっきのとおりってどういう事」

 気付いたらそこにいるやつのびてただけなんだけど。

「そしてもう1つは完全に記憶を消して自分が誰かも分からない状態で生まれ変わるかだ」

 そんなの答えは決まっているさ。

「僕はこの世に未練があるって前言ったでしょ」

 美少女はニヤっと口角を上げた。

「そのゲームみたいなものやるよ」

「それじゃあ今より本当の開戦、伝説のプロファイリングを開始する」

 たからかに宣言すると美少女は異次元の歪みの中に再び消えていった。

 手に持っている本とともに。

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