帰省したら実家が県ごと消滅していた件につきまして
譚織 蚕
帰省したら実家が県ごと消滅していた件につきまして
帰省したら実家が県ごと消えてた
今日はゴールデンウィーク初日...俺は新幹線を使って帰省している。
俺の実家は新潟県にあるため、北陸新幹線に揺られていた。
長野県を通り過ぎ、新潟県に到着しようとしたその時、車内アナウンスが流れた。
「次は~黒部宇奈月温泉駅です。」
「え?妙高駅は?」
アナウンスが間違っている可能性も考え、列車のなかを見回すが、どこにも新潟関連の文字が見えない。
俺はスマホを起動して、"新幹線 新潟 表示されない "と検索しようとした。
しかし、新潟が予測変換に現れず、調べた先でも、新潟の文字はでてこない。
また、実家に電話しても電話が繋がらない。
「なんでだ?家..新潟にあったよな?」
隣の席の人に聞いてみる。
「すみません...長野からって直接富山でしたっけ...?」
「ちっ、当たり前だろ!」
なぜかわからないが、新潟の存在がない。
俺はしぶしぶ黒部宇奈月温泉駅で新幹線を降りた。
「バスもないし、電車もないな...。父さん..母さん...元気かな?」
自転車をレンタルした俺は、新潟の方向へ漕ぎだした。
朝日という町を抜け、海沿いを走り翡翠で有名な糸魚川へたどりつくと言った頃...俺は見てしまった。
新潟があったはずの場所に....海がどこまでも広がってる光景を....
新潟が...ない...
俺は絶望した。もう一生親に会えないのだろうか?新潟はどこへ消えた?なぜ誰も覚えていない?
俺は、朝日の知り合いの漁師の方に頼んで、船を貸して頂いた。船舶免許を持っているので、操作はお手のものだった。
船を操縦し、実家のあった辺りを目指す。何か手掛かりはないか、新潟の痕跡はないかと道中見渡すが、なにも見つからない。ただ海が広がっているだけ....
1日かけ、妙高にある実家にたどり着いた。
親や、友達、思い出の場所の痕跡を探すがやはりない。
そして、捜索に行き詰まった俺は、船の上で、波に揺られ眠りにおちた...
「私の声が聞こえますか?勇者よ...私は女神エチゼ。私の管理する世界ケーンシは今滅亡の危機に瀕しています...勇者の素質をもつ貴方に、我が世界に転移して、世界を救っていただきたいのです...」
俺は変な夢を見ていた。精神的なショックが大きすぎて、現実逃避をしてしまったらしい。
「なにもただでという訳ではありません....。世界を救って頂いた暁には...貴方の願いを3つ叶えましょう...。先に貴方の世界から転移させた貴方と親和性が高い武器..聖なる武器を用い...悪を討って下さい...。」
俺は困惑したが、夢なら話に乗るべきだろうと思い、
「あぁ、いいぞ。」
と答えた。
すると全身が鋭い痛みとともに光に包まれる。
...痛い?
夢なのに痛いのはおかしい。慌てて立ち上がると、光が海面に反射する、美しい光景を目の当たりにした。
光源は俺。そう認識した瞬間、意識が飛んだ。
「イタタ。」
冷たい床の感触とともに、意識が浮上する。
「おぉ、勇者様。目が覚められましたか。」
豪華な衣装をきた老人が、こちらを見ている。
俺は、老人に対して質問をしようとした。
「ここは...どこd「それでは勇者様には伝説の武器を授けましょう。」
「おい、ここはどk「それでは、勇者様には伝説の武器を授けましょう。」
会話が成り立たない。
「わかった。武器を受け取ろう...」
「それでは...これが魔神殺しの聖なる武器...
聖ブーメラン、新潟です!」
.....変な夢を見た気がする。
「次は~妙高高原駅です。」
車内アナウンスが聞こえる。そろそろ目的地のようだ。
「家でゆっくり過ごそう。」
完。
帰省したら実家が県ごと消滅していた件につきまして 譚織 蚕 @nununukitaroo
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