非常識な幼馴染の妻

藤原 博

涼子の非常識

 2005年のお正月に私と弟でお宮参りに行くことにした。弟は、オシャレが好きだし、年収も結構あるので、今風に決めていた。私は、金が無いので、グレーのジャージのズボンと、弟にもらった黒のジャンパーだったのだが、私の中ではそれなりに決まっていると思い外に出た。ちょうど、幼馴染の武田守の家を過ぎるとき、帰省していた守の嫁はんの涼子が玄関の外にいて、私に向かって「何そのかっこう‼一体、どこのおっさんが来たかと思ったよ‼」とバカにした。そして、守なら今家にいるよと言ったが、私は頭にきて、無言で手を振った。


 4年後、彼らに年賀状を出すにあたって、あの嫁はんの言動を思い出した私は、連名ではなく、守の名前だけで出してやった。根に持つところが、私の良いところだ。人間こうでなくてはならない。そして、7年後、守のお父さんが亡くなった。私が故人に供えるお花を持ち、遺体が安置されている武田家の玄関を開けると、そこには涼子がいて、「武田守の妻‼涼子です‼」と大声を出した。あのなあ、涼子よ。お前、時と場合を考えろや。もっと、大人になれ‼

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

非常識な幼馴染の妻 藤原 博 @Donnieforeverlasvegas

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る