最終章

最終章


 EPが移住先に上陸後、数日が経った。

 上陸した周辺の調査が終わり、EP内の人間達に適しているとジャミール人に報告、今後は建設資材を作る為の原材料調査と候補地の選定。3ヶ所のEP間の移動経路とその手段についての開発を行う様だ。

 

 更地に上陸した以上、やるべき事はかなり有る。EP3ヶ所相互で情報共有して、あらゆる分担作業が始まる。


 様々な材料の製造加工、その関連機材。AIロボットやそれに準じた乗り物。それらを全て設計し、都市開発を行う。

 

 3ヶ所のEPでの役割が決まった。

 並行して科学分野を発展させていく。


 8千万の総人口で上陸したが、ジャミール人からは、人口の増減は厳しくするように、常に伝えられている。

 星の大きさの割に人口が多すぎるとも言っていた。

 その分をAIロボットを増やす事を勧められたが、それには少し時間が掛かる。


 EPの外には、都市開発に必要なプラントの類が用意出来ているらしい。だが、人々はまだ外には出ていない。

 ルールを作る事からやらなければ許可は下りない。


 更に数日が経った。

 EPと、用意された設備間の移動は専用ポッドで行き来する。又、限られたもののみとする等のルールが定められ、ジャミール人に提案する事になった。


 現行の提案は移動用ポッドだが、近い将来は、周囲の影響を受けないパイプラインを建設し、移動用ポッドを往復させ、数を増やす等を追加提案している。


 ジャミール人からの反論は無く、計画は続けられる事になった。

 


 この頃の地球では……。

 外部の移動に、自動運転の重力コントロール車両が誕生した。タイヤという物はない。車体だけだ。ただ、着陸装置の様な物が備わった車体だった。

 

 地球の重力に対してのコントロールはエネルギーの負担が大きく、ジャミール人の頭を悩ますところではある。

 

 ジャミール人には、座標が指定されればピンポイントで移動が出来る。又、指定座標の物体を取り込む事も可能だ。

 この技術はそう簡単に伝授するべきではないとの見解から、地球や移住したEPには知らされていない。


 地球上の人間は、ジャミール人に完全依存となり、当時の人々の世代は無くなった。

 いわば、純血の地球人は既にここには存在しない。遺伝子のみ継承され、生まれた命だ。ただ地球で活動している人間達、故に地球人である……というだけになっている。

 この星の原住民的な概念はもう無い。ただ住んでいるから。人々に尋ねても、そんな明快な答えとなって帰ってくるだけだった。


 その昔、地球では、種の保存なる言葉が言われ、人間に対しても使っていた。

 地球上の生命体の頂点に君臨しながら、尚も人間に種の存続が必要だと、言われていた。


 ジャミール人は完全にそれを否定、当初地球上の人間を減らせと伝えた訳だが、結局ジャミール人の思惑通りにはならず、出る杭を打ってきたのだった。

 

 ジャミール人が地球の観察を始めたのは、およそ2万年前。幾多の生命の観察から、次第に進化する人間と言う生命体に観察対象を変えた。


 やがて人間は、生命体の頂点に立ち、発展を続けた。


 その頃にジャミール人は、無作為に地球人10名をさらった。遺伝子を採取する為と、細胞単位の実験の為。

地球人の細胞は、我々より強固で、感染症にかかりにくい。ジャミール人は地球人の良い部分のみ取り出し、継承し続けたのである。


 そう、それ以来。我々ジャミール人には、地球人の遺伝子を持つ様になった訳だ。


 過去の歴史もあり、この2万年、観察してきたのだが、遂に限界まで来てしまう。

その結果が今の現状になる。排除すべきを排除し、今に至っている。

 

 ジャミール人に地球人と同じ遺伝子が存在する事を伝えるべきか、伝えずにいるべきか……。言ってしまえば同種族と同じである。この事はいずれ伝えるべきなのだろう。


更には、もしかすると、我々ジャミール人以外の生命体も、地球人をさらい、同じ遺伝子を持つ異星人がいるかも知れない。


 我々ジャミール人と、同じ事を行なっている星があるかも知れないのだ。


 歴史は繰り返す。ジャミール人と同じ境遇の異星人は、ジャミール人の様に行動し、別の星の生命体が干渉したのかも知れない。


 だが、地球人類はまだまだ進化していく。今後を楽しみに過ごすとしよう。


ーーー終わりーーー





 




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

人類はまだ進化するはずだ! ほしのみらい @hoshinomirai518

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画