第八章
第八章
地球の1千万余りの人口。対して移住先に3機のEPで上陸した人口は8千万余り。
この30年程の間に、地球人は進化に向けて、多くの努力をした。我々に近い身体に変わり、発展している。
EP内の人間達も、進化も有り発展も目覚ましい。
我々ジャミール人として気になるのは、それぞれに人口差がある事だ。
都市開発を許可すれば、その差はEPの人間に
我々ジャミール人の首都ギルバインでおよそ200年。これを考えると、地球の人間のクローン技術は目覚ましい。既に人間の肉体は進化している。都市発展には200年以内に叶いそうだ。
ところがEP3機の人間達は、肉体の進化が地球の人間に比べると劣っている。
さて、どうしたものか。……だが努力の成果は得ている。当初の愚かな人間では無くなったのも大事な成果だ。
我々ジャミール人は、地球もEPも、同じ様な進化発展を望んでいる。
都市開発に向けての計画を立ててみよう。もちろん、100年200年の歳月は覚悟してもらわねばな。
数日後の惑星ジャミール……。
やはりEPに都市開発を許可した以上、地球も同じくしてもらわねば。
さっそく地球には都市開発を許可した。積極的に取り組むよう努力すると、力強い返答が返ってきた。
重力制御しながらの工法は既に気が付いているだろう。先ずその開発からするはずだ。
建築機械、車両。地球上では過去の物を流用する事になろうな。
EPでは、やはり資材は与えねばならないか……。兵器に気が移らなければいいがな……。
必要資材の供給を約束したが、それは星の調査後にまとめて報告を受ける事になった。
地球人は30年余りでここまでやってきた。排除する人間は全て排除し、進化に向けて過ごしてきた。無駄は無いだろう。
我々ジャミール人がここまでするのは他でもない、地球という惑星を発見し、更にはそこの生命体が我々に近いからである。
惑星ジャミールより1千年程技術の遅れがある。
しかも、地球人がやっている事は、当時のジャミールとほぼ同じ様な事をしていた。
政治だ経済だと言っては、
国と言うグループ分けも、昔のジャミールそっくりだ。
500年前、我々はEPと同じ機体で今の星に移住した。当時の人口2千万人。元々の星に残ったのは3千万人。
だが、地球人とは違った環境だった。居住していた星の寿命が近いという研究結果を発表した科学者がいたが、誰も聞く耳を持たなかった。移住を支持する者2千万に対して情報はデマだとする居残り派が3千万。
我々が移住に出発して間もなく、残された者達で争いが起こってしまった……戦争勃発だ。これにより失われた命はおよそ1千万。元々の星に残ったのは2千万にまで減ってしまったのだった。
我々が惑星ジャミールを発見する前、元の星を出発して50年程だろうか。その元の星は、自転が停止し、その後1年程で恒星に飲み込まれてしまった……。この事象を前から警告を発していた科学者の、言う通りの結論になってしまった結果だ。
我々は、移住先が見つからなければ元の星に戻るつもりだったが、帰る星は無くなり、EPと同じ機体での長期滞在を余儀なくされた。
高度な文明を持っていても、居住する星が無ければそれを活かせない。
その時の我々はそんな状況下にあった。
元の星を去ってから80年位の時間が過ぎた。ここでようやく移住先の候補を見つけた。……それがここ、惑星ジャミールだ。
地球によく似た青い星。そこへ2機のEPと同じ機体が降り立ち、新たな生活が始まった。
既に我々の全てはクローンに関わっている身体であり、命を自在に作り分ける技術が有った。都市開発に合うクローンを作り上げ、AIロボットと共に、星は瞬く間に発展、皆、歓迎した。
この時、ようやく惑星の名前が命名された。……惑星ジャミール。我々が、今の都市国家に作り上げ完成させた星だ。
人口は2千万そこそこで築き上げた各地の都市。
現在の惑星ジャミールの人口は4千万弱。しかし人口制限は厳しい。我々全てがクローンであっても、生殖機能は残されている。よって、個人間での命の継承は可能だ。
又、両性も存在し、どちらの性にも進化する体質の者もいる。
ジャミール人は
惑星ジャミールにも寿命は有る。その時が来た時にはまた移住先を探し、同じ事を繰り返すのだろうか……。
地球人にも同じ様な境遇を繰り返してほしく無かった。だからこそ手を差し伸べたつもりだった。
だが、そう甘くはない。移住先を見つけた人間はこれから100年200年経過してようやく都市機能が得られるだろう。
地球も同様だ。技術力は向上している。だが……だがジャミール人の技術に依存してしまった。……EPの人間達も同様だ。
ジャミール人は、良かれと思い、地球に介入した。
この結果を見られるのは何年後だろうか……。
移住先を決め、移り住んだ人間……。もう地球人とは名乗れない。まるで過去の我々を見ている様だ。
地球上の人間には、地球の寿命に備える事を教えねば。
新たな星に移住したEPの人間には、もう地球人では無い事を教えよう。
我々にとっては非常に残念な辛い事だが、これはやむを得ない事だ。
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