夏の日、視線を交わす夕暮れ
ねこのほっぺ
第1話
図書委員の仕事を終え、くたくたになって伸びをしながらふと校庭に目をやると。
慣れ親しんだ男子が数人、そこを突っ切って帰る姿を見つけてしまった。
あんにゃろめ、と思った心が伝わったか。
そいつは何の前触れもなく、一人だけ振り返って手を上げた。
声が届く距離でもなし、そもそも声をかける間柄でもなく。
ただその所作につい、こちらも片手を上げて返したら、何やら嬉しそうに振り返って悪友共とこそこそ話し始めるのだ。
その内容は知らないし、きっと知る事もないけれど。
夏の夕刻、日差しが赤く染まる頃。こういうのもまた、青春って事で良いじゃないかと、靴を履き替えながら帰路につく。
さて。
明日、どんな挨拶をかましてやろうか。
夏の日、視線を交わす夕暮れ ねこのほっぺ @motimotitanukineko
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