第12話


少女は生まれついた時から洞窟で過ごしてきた。弱肉強食の世界で生きてきた。

故に少年を見た時にも、特別な感情は抱かず取るに足らない微弱な人間の子供としか思ってはいなかった。


その少年はとにかく必死だった。力も弱く、できることも大してないのにもがいていた。

そして遂には小さな力で壁を登り、生きる意思を貫いた。それを見た蛇の少女は思った。


「弱肉強食」なんて掲げているが自分はただ運が良かっただけなのではないか

自分が捕食者ではなく、被食者として生まれたなら果たして今のように弱肉強食を謡えるのだろうか、あの少年のように健気に生きていけるのだろうかと


少女は目の前の少年を今までの食料のように食べる気にはならなかった。せめて一日待ってやろう、どうせここからは出られないだろう。


しかし素直ではない少女はそんなことを態度には表さなかった。決して少年のためでは無いが、なんだか今日はお腹いっぱいだ。と

誰かに言い訳したように眠りについた。


そして目を覚ますと少年は目の前にいた。驚きのあまり蛇の少女は口を開いて少年を飲み込んでしまった。

ここでも素直ではない少女は少年を生かした。ただお腹いっぱいだからすぐには食べない。ただそれだけ


少年はとても小さな体をしていた。穢れのない綺麗な瞳に、ふわふわとした黒髪、その不安な瞳を見たら、少女はなんだかその少年を愛おしく思えた。

もちろん素直じゃない少女はそんなことを認めはしない。ただ少し話をしてみたくなった


それから少年と少女はお互いに名前を名乗りその後少年は器用に物を作り、散らかっていた少女の部屋を綺麗にしてくれて、ご飯を作ってれた。こんな美味しい食べ物を少女は知らなかった。


ユウはそれ以外にも色んな事を知っていて、少女の知らない話を沢山聴かせてくれた

少女にとっては生まれてから初めての事だ。


ユウは姉を探していることを少女に話してくれて、少女もユウの姉を探すことに協力することにした。

少女はユウのことが段々心配になり、蛇の女王ともある者が、ただの人間と契約を結んだ

モンスター達からすれば契約するということは、人間でいうところの結婚に近いのだが、ユウはそんなこと知るよしもない

恥ずかしいので少女も言わない事にしたが。


〇〇〇〇〇〇


ーー荒廃の洞窟・中層ーー


「ついたぞ、」




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病弱の弟とVRで冒険 @agmjgap1

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