4 君と僕の逃避行

ーーーーーーから嫌いだ。


冷めた紅茶をかき混ぜるように、物憂げに生きていた。


何か言えばすぐに何処かに行ってしまいそうで、何を言っても受け止めてくれそう。


呆れるほど優しいのに、うざったいほど熱い。


やめて


何度もそう言った。

なのに、彼女は着いてきた。


『了解』


いつも一言しか喋らないくせに、その時だけ僕を気遣ってくれるところが嫌いだった。


『目標発見』


やめてといえばやめるのに、やれといえばやるのに。来るなというときだけ、言うことを聞かないのがどうしょうもなく嫌だった。


『補足完了』


触れたら宝石のように冷たく、切なく、脆いのに、手だけはいつも暖かいのが嫌いだった。


『装填完了』


何をしても泣かなくて、何をしても笑わないのにーーーーーーそれを言うときだけ、子供を見守る親のように優しい顔をするのが嫌いだった。


『……………壮馬さん』


悲しくなるような声で彼女が名を呼ぶたびに、僕は死にたくなった。だから、彼女の声も嫌いだった。


『これが終わっても私が壊れなかったら、』


天使のように可愛いのに、悪魔のように魅力的なのに、大衆が彼女を求めるのに。僕しか見つめないのが嫌だった。


『そうしたら、私のことーーーーーーしてくれますか。』


なのに、なのに、嫌いなのに。

僕は今でも彼女のことを。時透アリサのことを、















アイシテイル

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自由に思いついたの書き殴る 俺氏の友氏は蘇我氏のたかしのお菓子好き @Ch-n

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