2-16. スタバで朝食を
「レヴィアおはよ~」
レオは目をこすりながらテーブルのところへ行った。
「おはよう、よく眠れたかの?」
レヴィアはコーヒーを飲みながら微笑んで言う。
「うん、ママにも会わせてもらっちゃった」
「ママ? あ、そう……、それは……良かったのう……」
レヴィアはちょっと言葉に詰まりながら答え、目をつぶってため息をついた。
「あれー? 朝食は?」
シアンは頭をボリボリとかきながら、やってくる。
「朝食、何が良いですか? 相談しようと思って……」
レヴィアはちょっと緊張した声で答えた。
「あー、スタバ行くか、スタバ」
「えっ!? スターバックスですか? どこの?」
「田町だよ、田町。別にシアトルでもどこでもいいけど……」
そう言いながらあくびをするシアン。
「じゃあ、そうしましょうか」
「それじゃ転送するよ~」
シアンはそう言って右手を挙げる。
「ちょ、ちょっと待ってください、その服装で行くんですか?」
ピンクのウサギ模様のふわふわパジャマ姿のシアンを指さして言った。
「レヴィアは細かいなぁ……」
「いや、細かくないですって!」
シアンは目をつぶって四人を転送させた。
◇
一行は国道十五号線沿いの歩道に移動した。
シアンは胸元がV字に開いた白ニットのトップスに、カーキ色のタイトスカートをはいていた。
「これならいいでしょ?」
ニコッと笑うシアン。
「……、バッチリです」
レヴィアは渋い顔で答えた。
「ねぇ、僕は?」
レオがパジャマ姿で聞く。
「ゴメンゴメン!」
シアンはそう言うと、ユニクロのボーダーシャツに着替えさせた。
◇
「では、スタバにレッツゴー!」
シアンはそう言って、大きなガラス扉を押し開けた。
「いらっしゃいませー」
若い女性の声が響く。
「うわぁ、すごぉい!」
オディーヌが声を上げる。ピンクのドーナツに緑のクリームバー、色とりどりの食べ物が並んだガラスのショーケースが目に入ったのだ。
レオとオディーヌはガラスをのぞきこんで一生懸命品定めをする。
「チーズタルトがお勧めですよ」
店員がニッコリとしながら声をかける。
するとシアンは、
「じゃあ、この列とこの列、全部一つずつください」
そう言って大人買いする。
「え? お持ち帰りですか?」
驚く店員。
「ここで食べるんでスコーンは温めて」
シアンはニッコリとして言った。
「わ、分かりました……」
「僕はベンティアメリカーノ、ホットね。みんなもコーヒー?」
シアンはそう言って見回す。
すると、レオが
「僕は……ミルクがいいな」
と、恥ずかしそうに言った。
◇
通りに面した、全面ガラス張りの壁のそばに席を取る一行。
国道十五号線は産業道路であり、たくさんのトラックや自動車が行きかっている。
「うわぁ、すごいね……」
レオはその交通量に圧倒される。
「物流は国の
レヴィアはそう言ってコーヒーをすする。
「そんなの空間繋げちゃえばいいよ」
シアンは呑気にコーヒーをすすりながらいう。
「えぇっ!? そんなの
「僕がいいって言ってたって伝えて」
そう言いながらシアンはピンクのドーナツをパクリと食べた。
「……。報告書が……」
「レヴィアは細かいなぁ、『シアンにやれって言われた』とだけ書いとけばOKだよ」
シアンはそう言って、レヴィアの背中をバンバンと叩いた。
「……。本当にそう書きますからね?」
レヴィアはジト目でシアンを見る。
シアンはうなずきながらスコーンに手を伸ばした。
「空間繋げるってどこ繋げるの?」
レオが聞く。
「主要都市の倉庫になるじゃろうな。各都市に倉庫借りて、そこをうちの倉庫とつなげる。そうしたら輸出入が一瞬でできる……。なんか怖いのう」
「ちょっとやりすぎかな? 利用期間に制限つけようか? 三十年間だけとか」
シアンはそう言ってコーヒーをすすった。
「三十年……、それならいいですな」
レヴィアはうんうんとうなずいた。
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