エピローグ 未来へ

 あの事件以降、お母さんは昔に戻っていた。優しく、誇りを持っていたあの頃に。

 でも、お母さんははー君のことを忘れていた。月笠大学に問い合わせても、「そのような生徒は当大学には在学していない」と返ってきた。

 面影を求めて、はー君と巡った、いろんなところを回ったが、どこにもいなかった。

 私は『時津神』を開き、そして涙を流した。

 でも、それでもずっと引きずりつつも涙を飲み込み、現実を受け入れ、はー君が教えてくれた方法で受験勉強に取り組んだ。そして見事蒼穹大学医学部に合格し、夢への一歩を踏み出した。


 はー君がいなくて、正直寂しい。でも私は、前へ進むと決めた。

 はー君は死ぬはずだった私の命を救ってくれた。

 なら私も、この命を救うために使おう。

 それが今の私の夢であり、願いだ。

 でも、時々辛くなってしまう。

 そう言う時は夜空を見よう。あの日、私が教えたように。

 今日も一片欠けた月は地上を見下ろし、北極星は輝いている。


               —終わり—

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