第六話 初恋と約束
気がつくとお母さんが倒れていた。その傍らには時津神。彼女はお母さんのペンダントを持っていた。以前と違いそれには札が貼られていた。
時津神は私が起きたことに気がつくと
「・・・これは埋める。時間に任せるのが一番いい解決法だから。・・・それじゃあ私は行くね。」
「あっ。」
行ってしまった。私はお母さんを背負い寝室に移動。お母さんを寝かせまたリビングへと戻った。
「色々、説明しないとね。」
そこには先生がいた。半透明で、今にも消え入りそうな、そんな姿の先生が。
「その前に一つ。——先生がはー君・・・ですよね?」
「・・・参ったなぁ・・・。」
先生はそう言い、私に問いかけてくる。
「いつから気づいてたの?」
「・・・星の時と、・・・あと、これ。」
私は『時津神』を出した。
「これを読んだの。」
「・・・どこに行ったのかと思えば君のところか。まぁ大体はそれに書いてあるし時間もないから要点を言おう。——僕は未来から来た。君が自殺したからだ。自殺の原因を調べ、過去に戻る方法を探し、その本に出会い、そして——」
「——今に至る、と。」
「そう。・・・あぁ。本当にもう時間がないようだ。だから——最後に少しだけ、僕の言葉を聞いてくれないか?」
私は涙が出ないよう耐えながら静かに頷く。それを見たはー君は名残惜しそうに微笑み
「——ずっと昔から、それこそ小さかったあの時から好きでした。これからも頑張ってね。はーちゃん。」
そう言うと、はー君は虚空へと消えていった。
私はしばらくそれを見つめ、小さく零す。
「・・・ずるい。ずるいよ。はー君。」
私は静かに慟哭する。
「再開したばかりなのに。お返事まだなのに。・・・私の想い、まだ伝えてないのに・・・。」
私は思いっきり泣いた。目から大粒の涙が溢れる。目元は腫れ、いつしか嗚咽に変わった。
「・・・これは、哀しいね・・・。」
いつの間にか時津神が横に佇んでいた。
「せめて、せめて君だけは覚えていてくれ。君の初恋の少年のことを。山本晴輝の名を——」
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