第16話 倉庫3

「私の負けね」




「両親の殺した化け物を教えてくれ」




「真実は残酷だから知らない方がいいけど、約束だからね」




「早く教えやがれ!!」




「親の敵はラヴァイトよ」




「何を言いやがる!!あいつはただの半妖で」




「ゲシュバイト、例の資料を」




「はは、ここに」 




 どこからともなくゲシュバイトが、立体ホログラム装置を持って現れた。




「感謝しろよ、くそガキ」




 ゲシュバイトが立体ホログラム装置を起動させる。




 すると身体がズタボロの20代後半の道士服を着た若い男女が、




 鶴の頭で蝶の羽が生えた蒸気機関車ような身体をした



 巨大な妖怪の触手に絡み取られた




 映像が映し出された。




「父さん!!母さん!!」




 20代後半の道士服を着た男女はアサトの父さんと母さんだった。




「ここからよ」




 巨大な妖怪は男女を触手から離し、みるみる小さくなって来て、


 徐々に人の姿を取り始めた。




「馬鹿な!!う、嘘だ!!」




 巨大な妖怪の人の姿はラヴァイトの姿をしていた。




「ラヴァイトは私たちが人工的に作った完全な妖怪で、




 人間と妖怪のハーフではなく妖怪が人間の姿をしているだけ」




「仮にそうだとしても。何か理由が」




「煮え切らないわね。補習よ、ゲシュバイト。


 妖怪の恐ろしさを味わせてから、アサトを殺しなさい」




「はっ」




 ゲシュバイトはシュアに一礼する。




「ゲシュバイト、あんたまさか妖怪だったのか!!」




 アサトはびっくりした。




「この間のお遊びとは違うぞ。お前の血肉を食ってやる」




「一皮むけば、妖怪なんてみんな一緒よ。滅べばいい」




「くそ」




 アサトは戦闘姿勢を取る。




「あなたには意思を貫く覚悟が足りないのよ」




 シュアは倉庫から立ち去った。




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