第6話 研究所4

「仰せのままに」


 ゲシュバイトは胸に手を当て、セルティアスに一礼する。


「それから、どうしてもお帰りにならぬ場合は多少の手荒い見送りをしてもかまわぬ」


「御意」


 セルティアスはその場をゆっくりと後にする。


 まるで、庭を散歩する父親ような足取りで。


「待って下さい」


 ラヴァイトは母猫を見失った子猫ような顔をする。


「おいこら、俺が動けない間に勝手な話をするな!!」


 アサトは息切らして、声を絞り出す。


「うぬらの問いは、我が答えなくとも、必然であれば、おのずと時が答えくれる」


 セルティアスは二人へ、哀れむような視線を投げかける。 


 その時間、ほんの僅か間だけ。


 そして、セルティアスは研究室をゆっくりと出て行く。


「何をいってやがる」


 アサトは何とか立ち上がり、毒づく。


「セルティアス様がそうおしゃるだから、早々にお帰り願おう」


「うるせーんだよ!!!!はげ親父!!邪魔だ、どけ!!」


 アサトはゲシュバイトに罵声を浴びせる。


「いい今、なんと言った!?」


 ゲシュバイトは動揺しながらも、いきり立つ。


「うるせんだよ!!!!くそ爺!!とっとと退きやがれ、たこ助が!!」


 アサトはさらに駄目押しをする。


「や、やめろ!!これ以上、奴を刺激してどうする」


 ラヴァイトは慌てて、アサトを止める。


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