第4話 研究所2

 その時、老人の後ろから、


「ゲシュバイト、口を慎め」


 声が聞こえて来た。 


 すると、老人の背後に何処にでも居そうおじさんが現る。

 

 しかし、胸に剣道の胴着に手足が硬い金属で覆われている。

 

 おじさんはゆっくりとした歩調で、ゲシュバイトの近くまで来る。


「セルティアス様!!どの様な御用でございますか?」

 

 セルティアスの姿を見て、ゲシュバイトは媚びへつらう態度を取る。


「古い友人がここに来ておると聞いてな。迎えにまいったのじゃ」


 セルティアスは緑髪の青年に目をやる。


「あなたが……もしかして、セルティアスさんですか?」


 緑髪の青年は恐る恐るセルティアスに尋ねる。


「聞くまでもなかろう。しかし、何故、その様な事を聞くのじゃ?」


 セルティアスは不思議そうに緑髪の青年に聞き返す。


「なら、話が早い。俺の問いに答えてもらおう」

 

 アサトが会話に割り込んで来た。


「最近の若いもんは、話の順序というものが分とらん。ほれ、静かにしておれ」


 セルティアスはアサトとの距離を一瞬にして零し、


 幽霊の様に急にアサトの前に姿を現す。

 

 ボンッ!!

 

 と音と共にアサトは苦悶の表情を浮かべ、倒れこむ。


 その時はセルティアスの姿はアサトの前に無く、ゲシュバイトの横に平然と居た。

 

 その時間は僅か数秒。


「グフッ!!!!」

 

 アサトは激しくむせる。


「アサトさん!!」

 

 緑髪の青年はしゃがみ込もうとする。


「大丈夫じゃ。軽く小突いただけじゃ」


「セルティアス様、わざわざ御手を汚さずとも、

 

 私にお声をかけていただければ………」


「そちに頼むとやりすぎるかもしれぬ」

 

 セルティアスとゲシュバイトは主人と執事のようなやりとりを交わす。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る