第2話 いざ、買い物へ!
エミルが来た次の日。
「起っきろー!!!」
エミルが叫んで起こす。もうそんな時間かと思ったら、まだ7時だった…。
「頼む、後もう少しだけ寝かせてくれ…。」
「だーめー!」
そのまま放っておくとずっとうるさくなりそうだったので、無理やり体を起こした。朝ごはんにトーストを用意した。エミルの為にインスタントのココアも。
「これ、美味しいね。」
そこらのスーパーマーケットで売っていた物でも美味しいと言ってくれる辺り、結構優しいみたいだ。僕は無言でもそもそとトーストを齧る。
「ごちそうさまでした!」
エミルは5枚切りの食パンのうち4枚を軽く平らげた。あぁ、食費は大丈夫だろうか…。という所で気が付いた。
「お前、荷物はそれだけなのか?」
「うん、そーだよ?」
昨日エミルが来た時は、何が入ってるかは知らなかったがポシェットしか持って来ていなかった。
「じゃあ、服とかは…?」
「あ、忘れてた!」
今更気付いたらしい。全く…。でもグチグチ言っても仕方がない。僕はエミルに提案した。
「こっちの世界の探索も兼ねて、一緒に買い物でも行かないかい?」
「え!行く行くー!」
どうやら乗り気になったようだ。取り敢えずこっちの世界で着る服を買ってあげよう。そう思って、子供服売り場に来たのは良いものの…。やはりそこに入るのは抵抗がある。そこで…。
「悪い。カゴだけ渡すから、服自分で選んできて、持ってきてくれないか?」
「え?何で?」
「ちょっと具合が悪くて…。」
「本当に?大丈夫!?分かった。待っててねー。」
それから約30分後…。
エミルの持ってきたカゴには春の今の時期に着る服が沢山入っていた。しかも、値段も安い物が多い。助かりながらも、気を遣わせてしまっただろうかと心配してしまう…。
「私ね、こんな可愛い洋服着るの、初めてなんだ。」
「そーなのか?」
「お父さんに、出来るだけ地味な服着るよう言われてて…。」
どうやら、こういう服が着られるだけで満足してるみたいだ。
ついでに食料の買い物も済ませる。何か食べたい物があるか聞いたら、
「エクレア!」
と元気な返事が返ってきた。こういう所も女の子らしい。道端で配ってる風船を貰ってはしゃぐ姿はとても可愛らしかった。もしかして、色んな楽しいことを制限されてたのか…?でも、楽しそうな所でこんなのを聞くと悲しくなる為、聞かなかった。
そして帰宅後…。
「ただいまー!」
大きい声でエミルは言う。
「手洗いうがいするんだぞ。」
「分かったー!」
そう言って洗面台に向かっていった。
買ってきた食材を冷蔵庫へ入れて、エミルが買ってきた服を箪笥の何も入ってなかった所に入れた。
そしてその後、買ってきたエクレアを食べて、風呂に入って、夜ご飯を食べた。最初は映画でも見ようと思っていたが、忙しい休日になってしまった…。
でも、この子を喜ばせることが出来たと考えると、思ったより良い休日だったかもしれない。
そんな事を考えながら、僕は眠りに着いた…。
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