第4話

昨日でPV撮影も終わり、今日の夕方の便で日本へ帰る。


それまでは自由時間となった。


俺はお土産など誰に渡す相手もいないのに、ブラブラと一人でショッピングモールに出かけた。


ショッピングモールへ向かう途中、RENさんがカメラを持って、海の写真を撮っているのを見かけ、


声をかけようとしたがプライベートな時間だし、RENさんとはほとんど話したことのない。


なぜか近寄りがたい感じで、あまり得意ではないタイプ。

向こうも気づいていないようなので、そのままショッピングモールへ向うことにした。


ブランド物のお店が立ち並ぶモールに、何の目的もない俺が来てもやることがない。

当然買うつもりもないから、ただ退屈なだけ。


”こんなとこでいっぱい買い物が出来るようになりたいなー。”

なんて思っていると、


「潤ちゃん、一人?一緒に買い物しない?」


向こうからTAIGAさんとボーカル担当マネージャーの谷口さんが近づいてきて話しかけてきた。

俺は特に買いたいものはないので、TAIGAさん達と合流し、一緒にブラブラすることにした。


「潤ちゃんと出かけようとおもったのに、もう居なかったからどこ行ったんだろうって思ってた。 一人が好きなの?」


TAIGAさんは自分を誘おうとしてたことを教えてくれた。


「特に一人がいいとかはないですが…。」


「そっか!でもここで会えて良かった!」


いつも自分の事を気にかけてくれているTAIGAさんは、本当に兄貴って感じで、一緒にいても心地がいい。


「潤ちゃん、何か買う目的でもあるの?付き合うよ!」


TAIGAさんはすでに買い物したようで、誰でも知っているブランドの袋を持っていた。


「TAIGAさん、何買われたんですか?」


「これ?時計だよ!ずっと欲しくて、まだこんなの買える身分ではないけど、思いきって買った!潤ちゃんは何か買わないの?彼女にお土産とか?」


と、嬉しそうに買った紙袋を見ながら自分に言ってきた。


「特には…。それにまだ買えないですよ!こんな高価なお店では…。彼女もいないですし…。」


「そうそう、潤にはまだ似合わないよ!」

と笑いながら谷口さんも言ってきた。


「えーっ、似合わないではなく、似合うようになるために身に着けるんだよ!そうすると自然と向こうから寄ってくるようになるから!」


相変わらずのポジティブな発言に、自分と谷口さんは笑いながらうなずいた。


”こういうとこがいいよなー。”

ってTAIGAさんの人間性に素直に共感した。


ひと時の自由時間はあっという間に時間が経ち、

集合時間に間に合うように、3人で少し食事をして、ホテルに戻ることにした。

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