第2話 パーティー

これは私が今まで知らなかった世界をかいまみた物語である。

私はその日、大学の自分の研究室で仕事をしていた。

「まったく、このレポートもコピペばかりだ」

最近の学生にレポートを書かせるとインターネットの情報をつぎはぎしただけのものを提出してくる。講義中もケータイばかりいじってばかりいるし呆れたものだ。

 そんなことを呟きながらレポートの採点をしていると、男とも女とも、老いたとも若いともいえる声が聞こえてきた。

「パーティー、しませんか?」

「え?」

顔を上げて周りを見回しても誰もいない。もちろん電話も鳴っていないし、他の音が鳴りそうなものもない。

 その瞬間、私目の前が真っ暗になり、気を失った。


目を覚ますと私は椅子に座っていた。目の前にはまるでコース料理のように空の皿とナイフとフォークが並べられていた。ナイフとフォークの本数から察するにまだ前菜のようだ。

 辺りを見回してみるとここは洋風の食堂のようだ。部屋の奥には大きな暖炉があり、壁には立った男性、イスに座った女性、その女性に抱かれている小さな女の子が描かれた絵が飾られている。

「なんだここは?」

みたところまわりには誰もいない。ここはほかに人がいないか探してみるべきだろうと思い、この部屋から出てみた。

部屋から出ると廊下に出た。扉がいくつかあったがすべて鍵がかかっており、ノックをしても返事はなかった。廊下を進んでいくと二階へと続く大きな階段のある、おそらくここがこの館の入り口なのだろう部屋に出た。もちろん扉を開けようとしたがびくともしなかった。廊下の窓の外は真っ暗で何も見えなかった他に何かないものか。壁には大きな柱時計がかかっている。時刻は私が研究室で仕事をしていた時刻を指していた。玄関の中心には大型の犬の石造が置かれていた。一階には人がいないみたいだ。仕方なしに二階へ上がる途中、階段の踊り場のところに食堂にかかっていた絵に描かれていた男性の肖像画がかかっていた。

二階に上がると正面に豪華な作りの扉があり、そこから人の声が聞こえてきた。

「あそこに人がいるのか」

そう呟いて扉を開ける。

しかし、その部屋には誰もいなかった。

「な、どういうことだ」

耳を澄ましても部屋の前で聞いた声はやんでいた、と思ったが、

「あぁ、君は招待されてないのか。まぁ、私が無理やり連れてきたんだし、それも当然か」

この声は私の研究室で聞いた声だ。

「このままでは、君はこの世界から出られない。出たいと思うならこの階の一番奥の部屋にヒントがある。私が言えるのはここまでだ」

それだけいうと声はもう聞こえなくなった。

「なんなんだ、いったい…」

わからないことだらけだ。こうなったら少しでも情報を集めよう。

謎の声に言われたとおり二階の一番奥の部屋に行ってみた。

ノックをしてみたが他の部屋と同じように返事はない。鍵は開いていたので

声をかけながら入ってみる。

ここは見たところこの館の主の家族のリビングのような部屋らしい。イス、机、暖炉、など洋風の内装だ。

それにいくつか扉がある。次の部屋はバスルームのようだ。猫足の大きなバスタブが置かれている。

他の部屋に行ってみよう。次の部屋はベットルームらしい。キングサイズらしい大きなベット、ベットサイドには

本が散らばっている。本は絵本で白雪姫、シンデレラ、などの童話ばかりだ。なるほど、食堂にかかっていた絵に描かれていたのはこの館の主の家族だったのか。となるとこの絵本は、あの少女に夜読み聞かせるものなのだろう。

次の部屋に行ってみよう。この部屋は書斎のようだ。本の内容はある地方のことが書かれている。作物の収穫量や人口の増減、などだ。もしかするとこの家の主はここら辺の領主なのかもしれない。

さしづめ、これは国に提出する報告書なのだろう。他にもオカルトについて書かれているもの、

詩集、小説、哲学書など様々なほんがある。これで行ける部屋はすべて行った。

さぁ、この世界を抜け出すためには何をすればいいのか。








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