洲本に来た二人
津名から、バスで約20分で、洲本バスターミナルに着いた二人。
「ここは、今は、バスターミナルだけど、昔は、鉄道の駅があったんだよ」
「へぇ!淡路島にも、電車が走っていたの?」「かなり昔だったけどね、俺が産まれる7年程前に廃線になっちゃったみたいだけどね、ここから、福良ってことまでのローカル線だったみたいだよ。俺の親父も、福良までこの電車で、釣りに連れて行ってもらっていたと聞いた事あるよ」
「福良ってどこ?」
「鳴門近くの港町だよ。親父も、その親父、つまり、祖父に釣りに連れて行ってもらってみたい、淡路鉄道って名前のローカル線だったみたいだよ」
「淡路島にも鉄道があったって、初めて聞いたわ」
紀子はかなり驚いたようだ。
「向かい側もバスターミナルだけど、高速バスのターミナルだよ。大阪から直接高速バスで来たら、そっちのターミナルに着いていたけどね、その横は、今は市民広場になっているけど、ここはかなり大きな工場があったんだよ、カネボウという会社のね」
「カネボウってカネボウ化粧品の?」
「うん!今、カネボウと聞いたら、化粧品会社を想像するけど、その当時のカネボウは違う会社だったみたいだよ。自分もよく分からなかったけど、カネボウの正式名称は鐘淵紡績っていうみたい」
「紡績工場だったの?」、
「おそらく、綿から糸や布を作っていた工場だったんじゃないかな?俺もそこまで詳しくなかったから、よく分からないけれど・・・。よく見たら、赤レンガの建物が工場の一部として残っているよ。今はこの建物を、図書館やショッピングモール等に再利用しているようだよ」
「へぇ!この辺一帯が、カネボウの工場だったのね。かなり大きな工場だったのね!」
「うん!今から10年程前に閉鎖しちゃったけどかなり大きな工場だったの覚えているよ」
紀子は感心したような顔をして、さらに誠に尋ねた
「あの山の山頂に、小さな城があるわね!」
「あぁ!洲本城だよ、三熊山の山頂に有るけど、行ってみる?かなりきつい、坂を登って行くけど」
「大丈夫、私、けっこう山登りもしてきたから自信あるわ」
「へぇ!じゃ、今から行ってみようか!今、よく晴れてるから、絶景が楽しめるよ」
「へぇ!楽しみ」
・・・二人は、早速三熊山の麓まで歩いて行った
「ここから、左側の海岸沿いの道をしばらく行ったら登山口があるよ。洲本温泉のホテルの裏口に・・・」
「あっ!洲本って温泉もあるんだね」
「そうだよ、ホテルニューアワジなんか有名だし。ほら、テレビのコマーシャルでも流れているしね」
「せっかくだから、温泉にも入ってみたいわ」
「ホテルニューアワジは、温泉に入浴だけでも利用できるよ、後で行く?着替えはある?」
「あっ!うん!一応持って来たわ。とりあえず、山頂に行って、洲本城へ行って、汗だくになると思うから、降りて来てからね」
「あっ!いや!でも、実家に行ってからになるかな?・・・着替え持ってないから・・・」
「あっ!そうか?まだ誠君の実家に行ってなかったよね。家の人には知らせてあるんでしょ」
「うん!今日、連れて来るからって、姉に言ってあるよ」
「あっ!お姉さんいてはるのね」
「うん!今は母親と、姉の二人暮らしをしているんだよ」
誠と紀子は、実家に向かい、約14分くらいで到着した。
「ただいま」
「こんにちは」
誠と紀子は、玄関に入り、挨拶をした
「は~い」家の奥の方から返事があり、誠の姉が出てきた。
「お帰りなさい、誠。早かったわね」
「こんにちは!」、紀子は誠の姉に挨拶をしたのだが・・・
「あっ!あら!あなた、紀子ちゃん??」
「えっ!お姉ちゃん、紀子を知っているの?」誠は驚いた様子で姉に聞いた、さらに紀子も驚いた顔をして、
「あっ!お久しぶりです。震災の時はお世話になりました。えっ!・・・あっ!・・・あのう、・・・誠君のお姉さんだったのですか?」
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