第34話 神戸、長崎
今日で阪神淡路大震災から二十七年、そんなに前のことかと信じられないです。あの朝、何も知らずに出勤し、大変な地震があったと知り、愕然としました。
九月になり、神戸、西宮を訪問する機会がありました。
生田神社では、巨大な御影石(?)が大きく移動。三ノ宮駅近くでは更地にセイタカアワダチソウが我が物顔で生い茂り、街の中心部とは思えない光景でした。デパ地下はコンクリートむき出しの天井、裸電球の照明でした。
イチローがまだ在籍し、オリックスが優勝した直後でした。選手の絵葉書セットを購入したのを覚えています。あの売り場もコンクリートむき出しだったなあ。
西宮の教会で、牧師さんから伺ったお話は一生、忘れません。
雑誌の撮影に使われるような美しい建物が、大被害。
「教会の真下に活断層が走っていたんですよ」
牧師さんは悔しそうに仰いました、「活断層」という言葉が広まったのは、この地震がきっかけ、それ以前に耳にしtことはありません。
「私の人生で、三つの大きな恐怖がありました。
今回の地震。
近鉄ファンなのにオリックスの応援席に座ることになり、ばれたらどうしようと焦ったこと。
そして、長崎の原爆です」
牧師さんは当時、中学生。八月九日の朝、学校で同級生とけんかし、あとで殴ってやろうと思ったそうです。
午前十一時過ぎ、原爆投下。その同級生も犠牲になりました。
うつぶせに倒れ、白いシャツを着ていたので、胸の名札で名前が判ったそうです。しかし、黒いズボンの下半身は骨になっていました。
第7,8,9話。18話もですね、あれらはラジオを通じて耳にしましたが、この長崎の件だけは、当事者が話してくれた事実。
当時、中学生だったということは、そろそろ九十台です、もう天に召されたかもしれません。
何を思って牧師への道を選んだのかは想像するしかありませんが、この話を聞いた者の義務として、書いておきたかったです。
あなたもどうぞ、心の片隅に留めておいてください。
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