第35話 不思議な現象の意味は……
私の温室に薔薇が植えられ順調に育っていく中で、季節は私がこの世界で迎える二度目の冬になろうとしていた。
外の気温が一気に低くなったので温度管理にもいつも以上に気をつけなければならない。
ハーブがしみたりしないように中の温度を確かめて、茎の様子を確かめる。
(最初の冬だからちょっと不安もあったけど、大丈夫そうね……。室温に気をつけて、あげる水の量も少し加減して…………)
ぶつぶつ考えながら、植えられている植物を見た後は天日干しにしていたハーブの様子も見に行く。
「……あ」
そして、そこで目にしたあり得ない光景に私は目を見開いた。
「
そこには、水分がすっかり抜け切ってカラカラになったハーブがあった。
水分を抜いて乾燥させるために干しているのだから、そうなること事態はおかしいことではないのだけれど……。
ありえないのは、このハーブを干してからまだ二日と経っていないということだ。
本来、茎全体から水分がすべて抜けきるまでには、少なくとも四日から一週間はかかる。
葉の大きさや種類によってはそれ以上かかることだってある。
現に、最初にハーブを乾燥させて作ったときはそうだった。
(どういうこと…………?)
にもかかわらず、ここ最近になって突然。ハーブの乾燥時間が極端に短くなった。
さすがにおかしいと思っていろいろ試して調べてみたけど、これといっておかしなところは見つからなかった。
匂いも変わらないし、ハーブティーにして直接飲んでみても、いつもと変わらない味がしただけ。
自分だけでは判断できずに、お父様やルーじぃに見せてみても、結果は変わらず、とくに問題はなし。
しばらく様子を見ても結果は変わらず問題もとくに見つからないので、いつものように使用しているけれど。
原因不明の摩訶不思議現象であることには変わらない。
(ここでもかファンタジー…………!)
「ぴぃー?」
変なところで仕事しないでくださいファンタジー。心臓に悪い。
脱力して地面に手をつく私の肩の上で、ピヒヨが心配そうにふわふわの羽根で慰めるように頬を撫でてくれる。
疲れた精神にペットの可愛さが身にしみる。今日もピヒヨが可愛い、ふわふわが癒やし。
忘れた頃にやってくるファンタジー攻撃はいつも地味にダメージが大きいです。
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