3ー6ー1 え、私!?
― ついに行われる課外学習に向けた班決め!しかし、そんな彼らを待っていたのは驚愕の事実だった。
青波 美憂の場合
「はい!それでは班のメンバーを決めてほしいんだけどー、」
その言葉を聞いて、数人のクラスメイトが立ち上がる。なんだか、皆の目力が強い気がするのは気のせいかな。
「と、その前に、突然だけど、このままメンバーを自由に決めてもらってもつまらないので、今から指名した二人に、今日の班決め全ての決定権を与えることにしまーす。話し合って決めても、その人が全部勝手に決めても、恨みっこなしなー。」
ガタン!
急な衝撃音に驚いて左右を確認すると、坂上君の二つ前の席の男子が、なぜか、額を机について突っ伏していた。さっきの音は、多分この人だ。どうしたんだろう、頭大丈夫かな。
「じゃあ、適当に決めていくぞー。」
相田先生は目を瞑ると、ぱっと両手で二つの方向に指を差した。そして目を開けると、ニコッと微笑みながら、二つの方向を交互に見返した。
・・・私!?
多分、誰が見てもわかるくらい困惑した表情を浮かべた私を見て、相田先生は、笑顔のままウンウンと頷いた。
あぁ、大変なことになったな。
私は突発的に、もう一人が誰なのかが気になった。先生のもう一つの視線の先を追うと、その誰かは、思ったよりも近くに座っている人のようだった。
「え、俺っすか…。」
その声は、私と同じで確かに驚いた雰囲気を醸し出していたけど、聞き覚えのある声だ。
・・・坂上君!?
私の表情は、再び困惑に染まる。
今日、坂上君とはまだ、挨拶を交わした程度しか喋れていない。それでも、なんでか彼の顔は何度も見ている気がする。けど、目は一度も合わせていない。
なんだか、今日の私はおかしい。今だって、そんな狼狽するようなことではないはずだし、むしろ相方が知り合いなのだから、安心するところであるはずなのに。
あぁ、本当に大変なことになった。
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