Intermission 2
そう、あいつはまだ見習いだった。女神にも研修期間ってのがあるってこった。
「しょうがないから、組んであげるよ」
組んであげる、は、ねえだろう。さんざん迷惑をかけておいて。
とあるインチキ・ガンロードの元から妹を救いだす、その途上で、おれは初めて女神と一緒に戦った。あいつも初陣だったらしいが――結果は聞くな。妹もそこにはいなかったしな。
ともあれ、おれたちは契約を結んだ。ともに転戦し、ガンロードを目指す、と。
むろん、たがいの思惑はちがう。
おれは、今はどこかのガンロードにおさまったらしい仇敵を捜し出すため――あいつは《カテドラル》の戒律にしたがって――トーナメントを巡る旅に出たんだ。
一緒に過ごすうちに、いろいろなことが見えてくる。たいていは悪いところだ。たとえば、あいつは見た目はそれなりに悪くないが、胸がない。もうガッカリするくらいに、ない。そんなことはどうでもいいとして、料理ができない。味付けがひどい。舌の機能がおかしいとしか思えない。あとは酒癖が悪い。やたらと近くにあるものに抱きついたり殴りつけたりする。その反応がランダムだから始末に負えない。加えて風呂が長い。自分が使った後のトイレには三十分は近寄らせない。つーか、おれの戦車(いえ)だろ。
誤解してもらっちゃ困る。おれたちはパートナーだが、あくまでもビジネスの上での話だ。色っぽい話なんてない。
――ただ。
いや、やめておこう。
ペンギンにまつわるキス話なんて、背中がかゆくなるだけだからな。
――でも。
おれは今でも、あの不格好な鳥のことが嫌いじゃ、ない。
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