第17話 大好きなライネル兄様

前書き

ケイトの気持ちとライネルの言い分


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【初等部研修】の最中、ライネル兄様が倒れてしまいました。




兄様は親戚の婿養子に入れる独身男性で、唯一魔術師の才能を持ち、私達と遊んでくれるとても優しい方です。




兄様の母上は、元A級冒険者で平民の出身ですけど稀人まれびとの家系に連なる方なのですって。




ですから兄様は、黒髪黒目に羨ましい程の象牙色の木目細かい肌でとってもカッコイイの。

まるで、王国の始祖様みたい……

(あくまでもケイト視点)




私も姉も兄様が大好きです。




私より7歳上の兄様は、去年から学園高等部に進学され、寮生活に……




『長期休暇には、会える』と思っていましたけど、兄様は修行の為に冒険に行ってしまい、なかなか会えない日々が続きました。




そして今日、やっと会えたと思ったのに、しまわれたのです。




医務室の先生は『だから大丈夫だよ。』と言われましたけど、私は心配でなりません。




まだ、兄様は目を覚まさない様子なので、今日はお見舞いに持って来た、お花と果物を置いて帰ります。

早く元気になって下さいね。




久しぶりに会って、いろいろお話しようと思っていたのに……




お大事になさってくださいね。




この時、付き添いで来てくれたミリアが、白い目でお兄様を見ていた事に私は気付きませんでした。




そして、医務室の外の多くの目も……


******************


(ライネル視点)



やっと帰ってくれたか……




実はボルネオール家の妹が来る少し前に目が覚めていた。

起きたらまた、鼻血が出そうなので寝たフリをしていた。




気付かれないと思っていたのだが、どうやらメイドの目は誤魔化されなかったようだな。




2人が帰った後、父方の従兄で学園医務医のザンダーズ先生が

「オイ……いつまで寝たふりしてるんだ?

あの子だろ?お前が好きなの。」




チッ!やはり従兄にもバレてたか。




あの子は確かに可愛い…だ…だがここで、それを認める事は出来ない!




認めたら俺は、ロリコンを認めた事になるじゃないか!




「あのな…あの子には、『《『単なる過労》》』って事にしといたけどお前、昨日北の砦近くのダンジョンから戻ったばっかりだろう?

しかも【初等部研修】の為に夜中に帰って来て、透明化インビジブルで【隠れん坊】とか、『過労と寝不足と魔力枯渇』で倒れて当たり前だ!」




うぅ…確かにこの数日、ほとんど休んでなかった。




「今は何と言われても、大人になれば7歳差なんか気にならないと思うぞ。

隣国の国王陛下は最近、王太子より若い側室と結婚したそうだ。

確か18歳だったかな?」




確かにそれよりマシか……

しかし、流石に国王陛下に面と向かって、『ロリコン』と言える奴は居ないだろう。




その後、俺は寮の自室に戻り、翌日の授業の準備…と、言ってもまだ【初等部研修】期間中なのだが、中には参加していない学園生もいるし。




そういう学園生は、学内にさえ居ればよい事になっている。

『過労で倒れた』事になっているから、明日は大人しく図書館ででも自習するか。




その日の夜、寝ていると急に胸の辺りが重くなった。

まさか、何かの病気か!?




イヤ、違う!俺の胸の辺りに何か居る!

恐る恐る目を開けてそっちを見ると…何故かそこには居てはいけない物が……

しかも、香箱座り《※1》かよ!




コレってあの子が飼ってる猫じゃないか!

さては、学園に内緒で寮で飼ってるな!




《プスゥ…》

くそぅ…どんな体重の掛け方してるんだ、起き上がれないぞ。




イヤ、コレは魔力か?

重力グラヴィティー】と【魔力譲渡】だ!

ただの猫じゃないとは思っていたが、こんな事まで出来るとは、実は凄い猫なのか?




と、そんな事を考えていたのだが、俺はいつの間にか寝てしまったらしい。




起きた時にはあの猫は居なかった。

が俺の布団の上には、しっかりと猫の足跡が!

見つかったら絶対、寮長と寮母さんに怒られる……




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※1

香箱座りとは、猫が一番寛くつろいでいる座り方です。

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