第9話 決着
ルイスは腰の鞘から短剣を取り出した。
右手に短剣、左手に杖。
最近のルイスの戦闘スタイルだ。
「
直径二十センチほどの炎の球が発射される。
それはカーネルに近づこうとしていたユニコーンに当たった。
当然無傷だ。だが、奴はこう思っただろう。
──挑発している、と。
彼女に向いていた体はこちらに向き、苛立ちが多分に含まれているであろう呻き声をあげた。
「いくぞ!」
言葉の意味までは分からずとも、ニュアンスは伝わったのだろう。
ユニコーンは彼に一拍遅れて駆け出した。
体格差を活かして上から前脚で押し潰さんとするユニコーンに対し、
ルイスは下からそれを押さえ込む。
ユニコーンの蹄壁の硬さを示すかのように響く金属音。飛び交う火花。
だが、ルイスにはもう一つの攻撃手段がある。
「
先程の魔術を再度行使するルイス。
それを間近で受けたユニコーンは、先程よりも体が強く痺れたようだ。
ルイスはその隙に短剣をユニコーンの胴体に突き刺し、そのまま抉るように走りながら引き裂いた。
今までで一番大きい悲鳴を出すユニコーン。
そして硬直が解け、後ろまで回り込んでいたルイスを後ろ蹴りしようとする。
が、それを察知していたルイスは華麗なバック転でそれを躱した。
ルイスは体制を整え、傷口に向けて毒魔術を行使する。
「
杖の先から如何にも有害そうな紫色の液体が噴出される。
それが傷口に当たると、ユニコーンはひどく弱ったような様子になった。
再び距離を詰めたが、最後の足掻きとばかりに巨大な風の刃が放たれる。
それはルイスの攻撃では捌き切れないものだろう。
──しかし、ルイスには
巨大な風の刃がルイスの目の前で消えた。
「今だっ! カーネル!」
いつの間にかユニコーンの真上にいたカーネルは、ルイスの掛け声に応じ、トドメの一撃をお見舞いする。
「クリューツ式剣術──秘技、必滅の斬撃!」
目にも止まらぬ速度で振り下ろされる長剣。
ユニコーンの胴体が真っ二つになった。
「ハァ、ハァ、勝った……勝ったわ!」
「こいつに勝ったんだ!」
かなりの魔力を使ったことにより酷く疲れているルイスだが、因縁の相手を打ち倒せたことの喜びがそれを打ち消していた。
それからルイスたちは、予め持ってきていた回復アイテムを使用して回復した。
その後、アイテムでは取れない疲れを癒すために帰ろうとするルイスたちはだったが、資金のためにユニコーンから価値の高い素材を取った。
運良く帰りのダンジョンではあまり魔物には出会わなかった。
無事街に戻った後、そのまま冒険者ギルドに行って換金まで済ませてしまおうかと悩んだが、二人で話し合った結果翌日に回すことにした。
自室のベッドに寝転がると、すぐに眠りについたルイスであった。
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