第10話 やっぱり唐揚げ棒は最高!

「危険度Sランクのユニコーンを?! ……いえ、あなた方なら有り得ますね……。すみません、取り乱しました」


いつも冒険者ギルド内を賑わせている酒好きどもがまだいない早朝。

ギルド内の静寂は、驚きに声を張り上げた女性によって破られた。


「なんか変な納得をされた気がするんだが……」

「まぁいいわ。これを換金したいのだけれど、大丈夫かしら?」


そう言って、彼女は台の上にある角や蹄壁などの素材を指差した。


「これを換金するとなると、今すぐ用意することは出来ませんが……」

「出来る時にでいいわ。それと私と彼の口座に換金額の半分ずつ入金することはできるかしら」

「え、えぇ。それなら」


了承の返事を聞いてギルドを立ち去ろうとする彼らに、受付嬢は一つ言葉を加えた。


「素材の鑑定が済んだらランクが上がると思いますので、近いうちに顔を出してくださいね!」


それに応じて二人は振り返ると、コクリと頭を下げた。




二人は今商店街を歩いている。


「よーし、これで学費分も稼げただろう!」


ルイスは体を伸ばしながら呟いた。


「そうね。問題は合格出来るかなのだけれど」

「俺らなら大丈夫だろ。あのユニコーンだって倒せたんだ。あっ、そうだ!」


ルイスが何か発見したようだ。

走っていく彼の背中を追うと、着いたのは香ばしい匂いが漂う屋台。


「おっちゃん、唐揚げ棒二つ!」

「毎度あり! おや、そこの綺麗なお嬢さんはガールフレンドか?」


屋台のおじさんはカーネルに目を向けながら揶揄うように言った。


「そんなんじゃねーよ」


彼は顔を少し赤面させた。

それに対し彼女の方は複雑な表情をしていた。


「カーネル? おーいカーネル?」

「──! ごめんなさい、少し考え事をしていて……」


ボーッとしている彼女に声をかけたルイス。

彼女はそれに気づくと慌てて返事をした。


「気にすんなって。ほら!」


ルイスが両手に一本ずつ持っていた唐揚げ棒の一つを渡してきた。


「わ、悪いわ」

「いーから、男に花持たせろって」

「じゃあ……」


彼の勢いに負けた彼女は、大人しくそれを受け取ると、恐る恐ると口に近づけた。


「! 美味しい……」


瞬間、いつもあまり表情を変えないカーネルの顔が綻んだ。


その反応を見て思わず彼もニヤニヤしてしまう。

久しぶりの休みに、唐揚げ棒を堪能する二人であった。

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