02 α
そこそこの名家で。いずれどこかに嫁がされて、そこで一生を終える。そんな人生。彼に出会うまでは、そう思っていた。初めて会ったとき。彼は、私の好きな曲を、好きな趣味として挙げた。わたしの人生で、いちばん血が沸騰した瞬間かもしれない。わたしも。わたしもすきです。おもわずそう言って、駆け寄って、握手した。
それからの関係。
最初から、終わっている恋だった。いずれどこかに嫁がされるわたしと、それを知らない彼。いちばんの問題は、たぶん、嫁がされることを特に不満に思っていないわたし自身。結婚相手が家督引っ提げて自ら来てくれるのだから、鴨がねぎどころか鍋一式とコンロ持ってきてくれるようなもの。そんな感じで思ってた。世間がなんと言おうと、結婚相手探さなくていいのは楽だと思った。無駄に汚れなくて済む。
だから。彼との関係も、最初から、終わっていて。わたしには、幸せなんて、ない。
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