第14話 小過去回想 1

楓さんの語りを聞きながら僕は鬼頭 楓と言う清楚の皮を被った危険人物と出会った日の事を思い出していた。


あれは天音さんがうちに襲来する少し前の話。




人が無理にナンパされているところを見たらあなたはどうしますか?

一人の女性がガラの悪そうな3人の男性に囲まれていた。


そう全ての人類に尋ねれば、全ての人類が助けると答えるだろう。

僕はそう思うし、僕は助ける。

てかそれがクラスメイトだったら尚更だ。 

まあ、少しナンパしている相手が完全に怖い人達でビビるが、人を助ける事に理由は要らない。そう週刊の少年誌で教わっていた。


「ふう、そのそこのお兄さん達、その嫌がってるようなのでね。そう言う事はいけないと思いますよ。」

そう僕は囲んでいる怖い人達に声をかけた。


「うるせいガキはすっこんでろ」

そんな風にスキンヘッドお兄さんに言われた。

めっちゃ怖いやんけ。


「いやー、すっこんでろって言われてもね。だってクラスメイトガン無視してどっかに行くとか人としてあり得ないんでね。考えて見て下さいよ。同じクラスですよ。ここで無視したら教室に居づらくなるじゃ無いですかね。だから本当にお願いしますよね。」

そう凄まじく饒舌になりながら早口で僕は言葉を発した。緊張で少しお喋りになってしまった。マジでどうしようか?


「おい、何をしてんだお前ら、誘導してくる人間違ってるじゃねえか。お前らしっかりしやがれよ。」

突如としてそんな声が聞こえた。声の主はいつもは物静かで柔らかいイメージのあるそして、被害者だと思う彼女だった。


「すいません…お嬢」

その彼女の荒げた声に呼応する様に周りの怖い人達が一斉に彼女に向かって頭を下げた。

うん?どう言う事?


「すいませんじゃねえよ。お前らは本当に使えないな。人の話を聞いてたか、私はな、鈴木 ひろきって言うごく普通の一般男子を連れて来いって言ったんだよ。何婚約者がいる人助け中毒者を連れて来てるんだよ。」

頭を下げる怖いお兄さん達に向かって楓さんはそう言った。

こわ、


怖いお兄さん達の呼び方はお嬢、

それでこの口調

待ってよ、彼女の名字は鬼頭

確かこの辺の怖い人達って鬼頭組…

もう完全にそうじゃん。


それから彼女は何事も無かったように、僕を見て

「怖かったです。助けてくれてありがとうございました。」

そう上品で丁寧な口調で言った。


「あっ、もう遅いと思いますよ。」

そう僕が言うと彼女はチッと小さく舌打ちをした。


「ああ、もうせっかく隠してたのによ。バレちまったじゃないか。まあしょうがない。分かった、まずこの性格は言うな。あと私を手伝いえ。」

そう僕に向かって言った。実際、僕には彼女を手伝う義理も何も無いが、その彼女の後ろにいる怖いお兄さん達が、めっちゃ睨んでくるこっちを。断れるわけない。


「分かりました。これも縁ですし、その困ってる人は助けるものですもんね。はは」

僕がそう言うと彼女は満足げにそして完全に悪い顔で笑った。うわー、怖いな。


「じゃあ君には、私の鈴木 ひろきを私にメロメロにする作戦を手伝って貰おう。」

そう言ってアホみたいな作戦を言いながら彼女は笑った。

何か変なことに巻き込まれた事は間違いなかった。


災厄だと思ったが、今となっては天音さんとのキューピットだったかも知れない。それでも、巻き込まれたのは、嫌だけどね。

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