第15話 小過去回想 2

僕がそんな風に猫被り系清楚ヤクザ女子との出会いを思い返しているとちょうど天音さんへの説明を終えていた。


「その、それで怜さんの身の潔白は証明されましたけど、一個気になることを聞いても良いですか?」


「うん、誤解が解けて何よりなことだ。私がわざわざここまで足を運んだ甲斐があるってものだよ。何かな?婚約者ちゃん」


「鈴木 ひろきをメロメロにする作戦?って何ですか?」

そう言って天音さんは至極真っ当なみんなが思うであろう疑問を楓さんにぶつけた。


「文字通りの作戦さ。私の細かい計画を君に話しても良いのだが。婚約者ちゃん、それを聞けば君にも協力者になって貰うよ。それでも」

楓さんがそう言っている途中で天音さんは


「怜さんが手伝っているなら私も手伝います。」

そう少し食い気味に天音さんは答えた。


「婚約者ちゃん、いいね。熱いね。まあじゃあ話して上げるよ。ちょっと長いかもだけどそこはご愛嬌って事で頑張って聞いてくれるて欲しい。」

そう言って彼女は深く息を吸ってそれから再び話始めた。


「そもそも、私が鈴木 ひろきの事をどうして好きなったかって言う話はまあ少し恥ずかしいから置いておいて、ともかくまず私は鈴木ひろきって言う人が好きなわけです。」


「はい」

天音さんはコクリと相槌を打っていた。


「でもここで1個問題があった。私は彼と接点が基本的に無いし、話す理由もない。だからどうにか接点をきっかけを作ろうって思って、出会いを演出しようとしているの。それでいろいろするって計画。」


「なるほど」


「それでナンパから助けて貰おうって言う演出をしようとして、間違えて家のものが怜さんを連れて来たって事。まあ何故か、今のところ全部失敗してるんだけどね。」


「それで怜さんは何を手伝ってたの?」


「怜さんには鈴木くんの事を調査する様に頼んでいるわけ。まあこんだけの話ですね。もう聞いたから婚約者ちゃんも協力者だよ。」

楓さんはそんな風に話してニヤッと笑った。


「普通に話せば良いと思うんですけどね。」

僕が彼女の話を聞いてボソッとそう呟くと同時に2人から睨まれた。


「「それが出来ないんですよ。バカなんですか?」」


そう息ぴったりに重なった声で怒られた。

「えっと」

そう僕が言うと


「怜さんは、乙女心が分かんないんですか?本当にもう」

そう言って少し天音さんが頬を膨らませた。


「まあ、イチャイチャしてるの見る趣味はないので私は帰らせて貰うよ。まあイチャイチャするのも良いけど、ちゃんと約束したことは守ってくださいよ。バイなら。」

そう言って楓さんは何処かに消えた。

イチャイチャね。


天音さんが言う乙女心が何か分かりはしなかったが、しかし彼女が思っている事は一個分かった。

「天音さんの今の気持ち分かりますよ。天音さんさっきから僕に食べさせてばかりで何も食べて無いですよね。だからお腹空いてるんじゃ無いですか?」

そう僕が自信を持って言うと彼女は


「確かに少しお腹は空いて間違えじゃ無いですけど、でも乙女心って言うのは、もう良いです。多分、怜さんには分かりません。だからとりあえずお腹が空いたので私にご飯を食べさせて下さい。」

彼女は呆れながら、そして顔を真っ赤にさせながらそう言った。


「えっと、食べさせるって事はつまり、」

僕は彼女の意図を察して恥ずかしくなって顔を赤くした。


「私がさっきやったみたいに、」

彼女の確固たる意思を感じて、覚悟を決めた。僕は震える手で卵焼きを掴み彼女の口の前まで運ぶことにした。

心拍数上がりすぎて、多分そのうち心臓が破裂すると思う。

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