第7話 佐倉を知ろう【志津 桜】

夏休みが始まって三日。

今日は珍しく予定がある。

それは新しい友人に佐倉のことを案内することになっている。


私はオシャレをして待ち合わせ場所に向かう。

10時までに着けばよかったので、9時半に家を出た。


外に出ると蝉時雨が響いていて、人は誰もいなくて静かさが響くばかりだ。

待ち合わせ場所に着くと、そこには2人の友人がいる。

仲のいい友人と新しい友人。


「ごめんね、藍音ちゃんと和樹君遅れて」


私は2人に謝る。

遅刻だと思ったからだ。


「大丈夫だよ、遅れてないから安心して。 悠希は完全に遅れそうかもね」


「あいつが遅れても、案内は逃げないから大丈夫だぞ」


「そうだねえ」


私達がそう話していると最後の一人が走ってくる。


「遅刻じゃないぞ? むしろ10分前だぞ?」


和樹君が悠希君を落ち着かせるためにそう言った。


「あ、マジ? 遅刻したと思って急いで走ってきたわ」


どうやら悠希君は落ち着いたようだ。


「時間はちゃんと見なさい」


藍音ちゃんに悠希君がそう言われている


「ごめん、藍音」


悠希君が謝ると、藍音ちゃんは笑顔だった。


「別にいいよ」


悠希君に私がそう言う。

悠希君は安心していた。


「じゃあ行こうか」


藍音ちゃんがそう言って、私達は歩き出した。

どうやら、志津駅前まで行くみたい。

何をするかは知らない。


「千代田区から引っ越す前は佐倉市を和樹は知ってたの?」


悠希君が話しかける。

私もそれが気にならなかったわけじゃない。

でも聞けなかった。


「知ってたよ、俺は佐倉に来てみたかったの。 でも行けなかった」


「へえ〜、何で知ったの?」


「テレビで見たんだ。 佐倉新町通りを見た時に行ってみたいって思った」


「じゃあ藍音、和樹を新町通りに連れていかない?」


悠希君がそう藍音ちゃんに言った。

やっぱり優しいな。


「そうしようか、悠希」


藍音もちゃんそう言ってくれた。


「和樹君、新町通り好きだったんだ。 私も好きだから一緒だね」


私も実は新町通りが大好きで、何回も行ったけれども飽きない。

私は仲間を見つけられて嬉しかった。


しばらくして歩いていると、駅前に着く。

私達は、京成志津駅の改札を通りホームにいた。

京成佐倉駅行きの電車は10時30分に、志津駅に到着する。

それまで待っていた。


「今日の空は快晴で綺麗だよ。 藍音ちゃんはどう?」


私は駅のベンチで藍音ちゃんに話しかけた。


「私も綺麗で好き」


藍音ちゃんは快晴の空を眺めながら言った。

その時の藍音ちゃんの表情は、清々しかった。

よっぽど楽しみなのだろうか。


すると、京成佐倉駅行きの電車が1番線ホームに到着する。

それに私らは乗り込んで、電車は出発する。

京成臼井駅から遠ざかるほど目の前には田んぼが見える。

綺麗だな。


京成佐倉駅に着き、そこからは新町の事を私が案内することにした。

人に案内するのをやってみたかったからだ。


「どう? 綺麗でしょ?」


「ああ、夢に見た新町は綺麗だな…」


和樹君は町並みに感動していた。

よっぽど和樹君は千代田区に住んでいた時から佐倉に来たかったのだろう。

そう思うと私も嬉しかった。


実は自分も和樹君と同じように東京から小学五年生の時に引っ越してきた。

千代田区ではなく、江戸川区に住んでいたんだけどね。

だから佐倉越してきて2年という月日が経つ。

ちなみに誰と同じ小学校かと言うと、藍音ちゃんだ。


「和樹が感動してるな、藍音…」


「和樹にとってこの新町通りは幸せなのよ…」


悠希君と藍音ちゃんがそう言っている。


そこから佐倉新町を歩き、私達は京成佐倉駅に帰る。


今日は案内も観光もできて満足だ。


これからよろしくね、佐倉和樹君。















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