第5話 佐倉を知ろう【鈴木悠希】

今日は7月23日。

夏休みから三日が経った。

今日は新しい友人の一人に町案内をする事にした。


それは彼がまだ佐倉という城下町に来て2週間余りだからだ。

待ち合わせ場所には10時までに着けばよかったのでゆっくり行っていたら、

不安に駆られて走った。

息を切らしながら俺は待ち合わせ場所に行くと、もうみんな着いていた。


「ごめん…遅れてしまって申し訳ない」


俺はみんなにそう謝る。


「別に遅刻じゃないぞ? むしろ10分前だぞ?」


和樹は慌てる俺を落ち着かせるように言った。

和樹に感謝だ。


「あ、マジ? 遅刻したと思って急いで走ってきたわ」


そして俺は落ち着いた。


「時間はちゃんと見なさい」


しっかり者の藍音に怒られてしまった。


「ごめん、藍音」


俺が藍音に謝ると、藍音は笑顔だった。


「別にいいよ」


桜の声で俺は安心した。


「じゃあ、行こうか」


藍音がそう言って、俺ら四人は志津駅へと歩き出す。

何をしたいのかは俺は分からない。

藍音のことだから計画しているだろう。


「千代田区から引っ越す前は佐倉市を和樹は知ってたの?」


俺は和樹にそう聞く。


「知ってたよ、俺は佐倉に来てみたかったの。 でも行けなかった」


「へえ〜、何で知ったの?」


「テレビで見たんだ。 佐倉新町通りを見た時に行ってみたいって思った」


そう笑顔で言う和樹を俺は新町通りに連れてってやりたかった。


「じゃあ藍音、和樹を新町通りに連れていかない?」


俺は藍音に提案する。

藍音も了承してくれる事だろう。

だって藍音はしっかり者で優しいから。

それに和樹は良い奴だし。


「そうしようか、悠希」


藍音もそう言ってくれた。


「和樹君、新町通り好きだったんだ。 私も好きだから一緒だね」



桜は嬉しそうに言う。


その笑顔がとても俺にとっては素敵だった。


しばらくして歩いていると、駅前に着く。


俺らは、京成志津駅の改札を通りホームにいた。


京成佐倉駅行きの電車は10時30分に、志津駅に到着する。


それまで待っていた。


俺はその間、佐倉の快晴の空を眺める和樹を見ていた。

和樹は空が大好きで、いつも眺めている。

もちろん俺も大好きだ。


空の話をすると、和樹はいつも俺にこう言った。


「良いか? どこの地に行こうが同じ空で変わらないと思うかもしれないが

価値観すら変えれば綺麗な空になるんだぞ」って。

本当に和樹の考え方は素敵だ。


すると、京成佐倉駅行きの電車が1番線ホームに到着する。


それに俺らは乗り込んで、電車は出発する。


京成臼井駅から遠ざかるほど、綺麗な風景が目に飛び込む。

その風景も大好きだ。


俺らの乗る電車は終点、京成佐倉駅に到着する。


駅前に出ると、タクシーロータリーやコンビニが並んでいる。


ここからは新町に詳しい桜に案内して貰うことにした。


「どう? 綺麗でしょ?」

笑顔で和樹にそう語り掛ける桜の声は何処か綺麗だった。


「ああ、夢に見た新町は綺麗だな…」


和樹は感動していた。

本当に行きたかったのだと思うと俺は嬉しかった。


「和樹が感動してるな、藍音…」


俺は愛音にそう言う。


「和樹にとってこの新町通りは幸せなのよ…」


愛音が笑顔で返す。


そこから佐倉新町を歩き、俺らは京成佐倉駅に帰る。


俺らはその後電車に乗り、志津に帰った。


和樹を連れてきて良かったと思う今日の日だった。













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