第2話 出会い

今日は7月5日。


一昨日、俺は東京の千代田区から志津に引っ越してきた。


何故かと言うと、親が佐倉に転勤になったからだ。


引越しを終わらせた後、俺は新しく行く中学に向かおうとしていた。


その中学の名前は佐倉市立桜ケ丘中学校だ。


そして俺は、早速志津駅に着いた所で迷っていた。


「どこ行けばいいんだ…?」


右も左も俺はわからなかった。


だって、土地勘がないからだ。


そんな感じで辺りを見渡していると、声をかけられる。


「何しているの?」


「道に迷ったんですけど助けてくれませんか?」


俺は声をかけてくれた佐倉市民であろう女の子に助けを求めた。


「タメ口でいいから、あなたの名前は?」


「……佐倉和樹さくらかずき


「私の名前は桜田藍音さくらだあいね

ってか佐倉市の佐倉さんに初めて会った!」


「それ昨日役所行った時凄い言われた」


「引っ越してきたの? この城下町で有名な佐倉に?」


「そうだよ、親の転勤でね」


「へえ〜。

それなら迷っても仕方ないか、案内してあげる。

何処まで行きたいの?」


「桜ケ丘中学校に行きたい」


「一緒の中学じゃん! 転校生か、案内するわ」


「お願い」


俺は、藍音に案内してもらうことになった。


「志津にはいつ引っ越してきたの?」


「一昨日だよ。 役所に行って手続きしたのが昨日」


「桜ヶ丘にはもう行ってみたの?」


「一ヶ月前にね。 親と言っただけだから詳しくはわかんなかった」


「へえ、クラスは何組? 私は6組だけど」


「俺も6組だよ」


「一緒!? よろしく!」


こんな他愛のない話をしながら桜が丘まで案内してもらう。


途中の道は、住宅街で静かだった。

小学生が遊んでいるけれど、そんなにうるさくなかった。


「ここが桜ヶ丘だよ」


気が付くと、桜ヶ丘の正門前に着く。


「ここが桜ヶ丘か…」


「緊張しなくていいよ、ここの人達はいい人達ばっかりだから」


藍音の一言で緊張が解れた。


「そうだね、ありがとう」


「どう? 桜ヶ丘までの道覚えた?」


「うん」


「あら、もう5時半だから帰らなくちゃね。 和樹は帰る?」


「俺も帰ろうかな」


「じゃあね」


そこで藍音とは別れた。


「藍音って良い奴だけど不思議な子だな…」


俺は去り行く藍音の後ろ姿を見ながらそう言った。


道案内は良くするけど、着いていくことなんてないから不思議だ。


彼女の名前は桜田藍音か、覚えておかなければ。


そして俺は、家へと帰った。


どうやら遠回りしてたようで、家から桜ヶ丘はそんなに遠くなかった。


何やってんだよ俺。













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