第2話新天地へ転移 ~ 取りあえず街へ
知矢は何故かぼーっとしていた。
空は青く広い
周囲に人気は無く
視界に写るのは緑色に広い草原と濃い木々の林、綺麗に流れる小川であった。
足元を確認する様に下を向くと踏み固められた土や小石。周囲を見回すと道であった。
最高神の言っていた通り都市郊外の街道らしい。
「これ?もう異世界か?なんか関東平野の田舎、昔あった実家の辺りに似ても無くはないな」
意識がはっきりしてくるともっと周囲が良く見えてくる。
日本ならいくら田舎でもこんな幅広い道が未舗装の訳もなく、
日本ならどんな田舎でも電柱や高圧鉄塔が見えてもおかしくない。
遠くに見えるのは高い壁に囲まれた建物、あれが中規模都市”ラグーン”かと思い、さて先ずはどうするかなと思案していると自分の様子が変わった事にも気が付いた。
手を見ると長く仕事で固くなった手の内もつやつやになり、歳で衰え始めていた腕にも筋肉をまとい、痛めていた腰や膝の痛みも感じないばかりか体が軽く、息も軽い。
「おっ!おうおうおう!!凄いぜ!こんな軽いからだ何時以来だ、体も痛くないし、うわ~関節柔けー」
若返った体に嬉しくなってしばらくは時を忘れ、飛び跳ねたり前方転回してみたりごろごろ転がって身体の自由を堪能してみた。
楽しむだけ楽しんでのどが渇いた知矢は小川の水を飲んでみることにした。
「飲めそうだけど?腹壊さないかな?」
生きてきた日本の小川を思い出し多少不安に手にすくった水を見つめると、
”山からの湧水、飲料可、冷たい”
目の前にパネルが映し出され状態を表示した
「お!これが鑑定か、便利だし助かるな。これならお腹壊したりしなくて済みそうだ。」
どうやらおれが疑問に思ったりすると自動的に鑑定してくれるみたいだ。
最高神から貰ったマジックバックに水筒が入っていたのも忘れ小川の綺麗な水でのどを潤した俺は周囲を見渡し何か鑑定できるものは無いか・・変な岩を見つけた。
その岩は日本でいう御影石の様に黒く硬そうに見えるがすると
”黒光石、敷石や庭石に最適”
と出た。
簡単な説明だが十分だ、LVが上がればもっと克明に解説が表示されるかもしれないが今は十分だと納得した。
都市への街道をのんびり歩きながら気持ちの良い風景を堪能しながらこれからの事を考えていた。
「都市へ入るには身分証かギルドカードが必要、無くても保証金を払えば入れるんだったよな」
”指南書”の内容を思い出しながらドキドキ、ワクワクしながら取りあえず都市への入り方を確認していた。
「ギルドか、仕事をする予定もないから商業ギルドは無いな、入るなら冒険者ギルドかな?
でもすぐ入らなくても困らないから都市の中で色々見て回りながら考えるか。」
そうしているうちに地方商業中核都市”ラグーン”の入り口、短槍を構えた門番が入場する人々を検めていた。
昼間だからなのか入場する人の数は6人ほど、様子からほとんどの者が町に住む顔なじみの商人や平民らしく笑顔を交わして通っていく。
すぐに知矢の番になったとたんその門番は少しいぶかしく前に立ちはだかり都市への道を閉ざした。
「おい、お前、見たことないやつだな。旅の者か?身分証を出せ」
口調は強いが悪い門番という感じではなく職務に忠実な気がする。この異世界最初に交わす好感度の高そうな人だ。
「はい、こんにちは。初めてギルドへ登録しようと思い旅をしてきました”トーヤ”って言います。一応村では冒険者になると言って出てきましたけど大きな町で色々見聞きしてからどうするか考えようと思っています。」
”指南書”情報を参考に言い訳を考えておいたのでスラスラと言葉が出た。
「そうか、田舎の方じゃ職業も選べないからな、最近どんどん都市部へ若いのが来る、だが甘い考えでいるとあっという間に有り金使い果たして悪い奴らの手先に何て事もあるからな、その為の帰郷出来る金を先に預かっておく制度が”補償金”だ、もし都会での生活が無理で田舎に帰りたくなったら来るように、補償金を返して田舎に帰れるようにしてやるからな」
と差し出した保証金小金貨1枚を受け取り代わりに木片に金額とトーヤの名を書き込み焼き印を押したものを渡してくれた。
「ハイ!」と明るく希望に満ちた顔をすると門番もにこやかに「商業中核都市”ラグーン”へようこそ、歓迎するぞ若者よ!」
と明るく見送ってくれたのだった。
知矢は名をトーヤへ変えていた。
理由は簡単、この国では西洋風の名が多い事。ただ本名と俗称が異なってもかまわないらしく身分証やギルドカードには本名と俗称を併記しても良いらしい。
「さあ!俺の老後が始まるぞ!」
門をくぐり都市へ入場した知矢はこれから起こる、出会う新たな事に胸をワクワクさせながら目の前に広がる大きな街並みと行きかう人々を見渡すのであ
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