「海を見て君を思う」

 一問一答、十代の頃は答えられることの方が多かったと思う。テストは正解不正解の二択だし、答えはあるものだった。寂しさはどこか甘く、僕を取り囲む環境は好意からそれを許さなかった。

 答えのない問、その問すら捉えることがこの頃難しい。少し、また少しと分からないことばかり心の底に折り重なって降り積もってゆく。いつかこの梅雨の地面のように、しみ込み切れなかった水が溢れて海になるかもしれない。

 その時には君、助けに来てくれとは言わないから、ただ心の中に、僕の海から汲み出した水で小さな池でも作って欲しいのだ。そうして君が大切な人と肩を並べて語らう景色に、孤独に閉じ籠る日に、ただそこに在れたらと願う。

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