柄にもなく、レビューを書きたい一心で会員登録してしまいました。
BLというキーワードに惹かれて読み始めたのですが、これはただの恋愛小説じゃありません。友情、兄弟愛、そして「自分とは何者なのか」という問いに必死で向き合う若者たちを描いた、超弩級の青春ヒューマンドラマでした。
主人公は、秘密を抱え、自分の描く鮮やかな絵でさえ「綺麗すぎる」と塗りつぶしてしまう、芸術家の俐一。彼のモノクロームな世界が、双子の弟や恋人、そして忘れられない旧友との再会によって、どう変わっていくのか。もう、読んでいて胸が苦しくなるくらい感情移入してしまいます。
正直、物語の前半はテーマが重く、登場人物たちの葛藤に胸を痛める場面も多いかもしれません。でも、お願いだからそこで読むのをやめないでほしい!
後半からの怒涛の展開が本当にすごいです。前半に散りばめられていた何気ない会話や行動、キャラクターたちのちょっとした違和感。それら全ての意味が、後半で明らかになった時の衝撃と感動は言葉にできません。「え、そういうことだったの!?」と何度も声が出て、気づけば涙がボロボロこぼれていました。
特に、双子の弟・嘉一。最初は「なんだか不愛想な弟だな」くらいにしか思っていなかったのに、読み終わる頃には彼のことが好きで好きでたまらなくなっているはずです。マジでカッコいい。
めちゃくちゃ泣けるのに、ただ悲しいだけじゃない。読み終えた後には、雨上がりの空みたいに、心が少しだけ晴れやかになるような温かい余韻が残ります。
「泣ける話が読みたい」「人間関係が複雑に絡み合う重厚な物語が好き」「とにかくすごい伏線回収を体感したい」という人には、もう全力で、騙されたと思って読んでほしい一冊です!最高でした!