第156話 怪水との決着

『ラストスパートだ! このまま削りきるぞ!』

『ええ! 【ホーリー】!』

『最後は任せたぞ!』

『おう!』


 怪水が、ミスト状にした水を放出してくる。

 が、二人の風魔法や、翼を羽ばたかせて起こした風でね返す。


 この程度の攻撃じゃ俺たちには通じないということは、怪水だって百も承知だ。


『ヤバそうなの来るぞ!』


 怪水の体の中心部に水が集まっていき――


「~~~~~~~ッ!」


 一番近くにいた狼王に向かって、怪水砲が放たれた。


 ジェット水流のようにすごい勢いで大量に迫る水。

 極太のハイドロポ〇プと例えればわかりやすいか。

 それが狼王に迫る。


『【サンダーウォール】! 【ファイアーウォール】!』

『【エアウォール】!』


 俺と親ぎつねで三重の魔法壁を張る。


 多少は勢いを弱められたが、それでも壁を貫かれてしまった。

 だが、ニヤリと笑う狼王。


 ……心配する必要はなさそうだ。

 俺は、俺の仕事に集中しよう。



『【風神飛爪斬ふうじんひそうざん】!』



 狼王が前足を振り下ろすと、爪の先から一本の刃が飛び出した。

 巨大な風の刃が、ハイドロポ〇プもどきを裂きながら突き進む。


 ……【旋風飛爪斬】がパワーアップしたのか。

 凄まじい威力だ。


『私の最強の一撃だ。喰らうがいい』


 巨大な風の刃が怪水のもとまでたどり着き、そして――


 ザパァァァァァァンッ!


 怪水の体を真っ二つに切断した。

 本体から分断された水が、地面に落ちて水たまりを作る。


 先ほどの放水ですでに体積が最初の十分の一を切っていた怪水は、慌てて水たまりの水を回収しようとするがもう遅い!



『封印解除! ダブル【煉獄】!』



 残り魔力を惜しみなく使い切った【煉獄】さんを発動した。


 怪水の本体と水たまりの二か所から、獄炎の火柱が立ち昇る。

 火柱は轟轟と音を立てて燃える。


『やっ――』

『ストーップ! それ以上言ったらフラグだからやめろ!』

『フラグとはなんだ?』


 怪水の体を構成する水がただの水なら消し飛ばすのは容易い。

 が、相手はAランクの魔獣だ。


 もともと高い防御力に加えて、高レベルの【魔法耐性】まである。

 普通の炎なら消し飛ばすのは無理だろうが、あそこまで体積を減らしたうえで最高火力の炎スキルを叩き込めば……。


 ……最悪耐えられたとしても、あいつは空気中の水分を取り込むことはできない。

 少なくとも、今よりも体積が減るのは確実だ。

 そうなれば、二人が魔法で倒しきってくれるだろう。


 親ぎつねの残り魔力量は一割を切ったとはいえ、それでも数発は【ホーリー】を撃てる。

 狼王はまだ半分ほど魔力を残しているから、さっきの【風神飛爪斬】レベルの魔法を放つことができる。



『これでどうなるかしらね……』


 メラメラと燃えていた火柱は次第に弱まっていき、フッと消えてしまった。

 そして――


『ギリギリ耐えきったみたいだけど、これで終わりよ。【ホーリー】』


 ソフトボールほどの大きさになっていた怪水を、神聖な光が包み込んだ。


 べちゃっ。


 小さな音を立てて、怪水が形を失った。



『ふぅ。結構ギリギリだったな……』

『耐久力の高いやつとは当分戦いたくないわ……。めんどくさい相手だったわね』

『なんにせよ、二人のおかげで奴を倒すことができた。感謝するぞ』

『すごく大変だったけど、私の成長に繋がったからいいわよ。お疲れ様』

『お疲れ様。俺たちの勝利を祝うのもかねて、祝勝会でもやらないか?』

『いいわね。うちの娘も一緒に参加させるとして、場所はどこにするのかしら?』

『ノアの拠点でいいだろう。私とノアでオークを何匹か狩るから、その間に娘を連れてくるといい』

『わかったわ。それじゃあ、一旦さよなら』


 そう言い残して、親ぎつねは去っていった。


『じゃあオークを探すか』

『気配を探るのは私に任せろ』

『おう、頼んだぞ』


 というわけで、狼王の先導でオークを探す。


 その間にステータスの確認しておいた。


------------------------


種族:クリムゾンファルコン Lv74

名前:ノア

状態異常:なし


体力 :1400/1400

魔力 :126/1280

攻撃力:906

防御力:723

魔法力:920

素早さ:899

ランク:B


固有スキル

【飛翔LvMax】【鑑定】【言語翻訳】【獲得経験値倍化】【方向把握】【高速思考】【超帯電】【念話】【クリムゾンブースター】


スキル

【体力自動回復Lv2】【クチバシ攻撃Lv8】【電撃クチバシLv6】【爪撃Lv9】【爪炎撃LvMax】【ファイアーボールLvMax】【ファイアーアローLvMax】【ファイアーウォールLv8】【気配察知Lv4】【フレアタックルLvMax】【魔力制御Lv9】【フレアLv8】【爪雷撃Lv8】【サンダーボールLv8】【サンダーアローLv8】【サンダーウォールLv8】【放電Lv8】【火炎飛爪斬Lv5】【クリムゾンアローLv5】【フェザーアローLv4】【フェザーボムLv4】【熱風Lv5】【煉獄Lv5】


耐性スキル

【炎属性耐性LvMax】【毒耐性Lv5】【物理耐性Lv2】【魔法耐性Lv2】【雷属性耐性Lv9】【麻痺耐性Lv7】【呪い耐性Lv4】


称号

【突然変異】【転生者】【焼き鳥】【炎の貴公子】【釣り名鳥】【雷鳥】【解放者】【獄炎鳥】


------------------------


 レベルや能力値以外にも、スキルレベルのほうもいくつか上がっている。

 特に【呪い耐性】のレベルが上がっていたのがうれしい。


 そんな感じでステータスを見ながら進んでいると、一匹のオークと遭遇した。

 上位種のオークと――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る